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 地方銀行や信用金庫など地域の金融機関の先行きが懸念されて久しい。長く続いた景気拡大が変調をきたせば、どのような影響がありうるのか。注視すべき局面になっている。

 日本銀行が先月発表した「金融システムレポート」は、地域金融機関の貸出残高に対する「信用コスト」の比率が増加に転じたことに注意を促した。信用コストとは、融資先の倒産による貸し倒れや、それに備えた引き当てのことだ。

 日銀によると、長く取引してきた地場企業の経営再建が、地域の人口減などに直面して遅れているという。また、金融機関が貸し出しを増やそうとして本拠地以外で取引をするような場合に、審査や管理が甘くなっている例もあるという。

 引き当てが増えること自体は備えを手厚くしている面もあり、一概に問題とはいえない。ただし、リスクに見合う利ざやがとれていなければ、経営体力が奪われていく。

 注目すべきは、緩やかとはいえ景気回復が続いてきたなかで、こうした動きが出ていることだ。今後、景気が明確に悪化に転じた場合、信用コストは一段と増える可能性がある。日銀は、そうした影響を「金融機関はこれまで以上に認識しておく必要がある」と指摘している。地銀や信金はリスクの点検と備えを強化すべきだ。

 現時点では、地域金融機関も自己資本の厚みがあり、急激な危機が起こる可能性は小さそうだ。とはいえ金融危機はかたちを変えながら繰り返してきた。景気回復のなかで、ゆがみが蓄積していないか、金融システム全体への目配りも必要だ。

 地域金融機関の苦境はいまに始まったことではない。有望な貸出先が少ない地域も多いうえ、異次元の金融緩和を背景に低金利が長期化し、融資で稼ぎづらくなっている。状況が急に好転することは見込めず、抜本的な解決策も見つけにくい。リスク管理を徹底しつつ、地道な経営改善を重ねるしかない。

 地銀の合併を促すため、政府は10年間の時限措置として、一定の条件下で独占禁止法の適用を緩める特例法を検討している。再編・統合が効率化につながるのであれば、こうした選択もためらうべきではない。

 技術革新やキャッシュレス決済の普及など、金融機関をとりまく環境は中長期的にも変革期を迎えている。メガバンクですらATM網を整理するといった対応に追われ始めた。

 経済の進展の中では、個別の企業や産業の盛衰は当然に起こりうることだ。しかし、利用者や経済に不測の影響が出ることは避けなくてはならない。

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