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 国民が納めた税金のむだ遣いが、なくならない。

 18年度の国のお金の使い方について、会計検査院は335件の1002億3058万円で問題があると指摘した。

 待機児童解消をめざした保育室の工事では、費用が水増しされていた。交付金で整備した、患者の画像データなどを病院間で共有するシステムは、まったく使われていない例があった。中小企業に債務保証をする機構の基金では、政府の出資金のうち202億円は使う見込みがないとして、返納を求めた。様々な補助金や助成金も、不適切に受け取られていた。

 なぜ、同じような指摘が毎年繰り返されるのか。政府の各機関は、財源は税金であることを改めて意識し、むだを減らす取り組みを徹底すべきだ。

 ただ、政策の実行に必要なお金を借金に頼らずにまかなう財政健全化目標は、むだを削れば達成できるわけではない。

 政府は毎年、税収を大きく上回る予算を使い続けている。税収はバブル期に並ぶ60兆円前後に増えたものの、予算額は税収の約1・7倍の100兆円超にのぼるからだ。

 検査院は、会計処理が適正か、有効に効率よく執行されたかを点検している。さらに昨年からは、政権が掲げる財政健全化の視点を意識して、予算の3分の1を占める社会保障費に言及するようになった。

 今回は、75歳以上の医療費の自己負担のあり方など、安倍政権が政府の目標として「改革工程表」に書き込んだ三つの改革に触れ、「結論を得るとしていた18年度末までに、結論に至らなかった」と指摘した。

 社会保障改革では、医療費と介護費の給付と負担のバランスの議論がかぎとなる。高齢人口の増加で急伸が見込まれるからだ。ところが、安倍政権は自ら必要な改革と位置づけたのに、結論を先送りしてきた。

 こうした給付と負担の見直しが難しく、望ましい社会保障の姿を描けないなら、別の手段を考えねばならない。しかし、社会保障に使うと位置づけた消費税について、安倍首相は「今後10年間くらいは上げる必要はないと思う」と言うだけで、代替策を何も示さない。これでは、持続可能な社会保障制度を整えることも財政健全化も、遠のくばかりだ。

 検査院に指摘されるまでもない。現役世代と高齢層との負担のバランスをどう考えるか。負担増が避けられないなら、年齢や所得・資産の状況など、どんな基準で負担を求めるのか。

 尽くすべき議論から逃げてはならない。結論を出し、問題の先送りに終止符を打つときだ。

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