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 公務への信頼を揺るがす、ゆゆしき事態である。多数の職員が長年、漫然と金品を受領していたことに驚きを禁じ得ない。

 福井県の幹部ら109人が、同県高浜町の元助役(故人)から現金や商品券、純金小判、各種の贈答品を受け取っていた。就任祝いや餞別(せんべつ)、中元・歳暮の名目で、1人あたりの最高は20万円相当。受領分に見合う返礼をしなかった職員も目につく。

 調査した委員会は、21人について「儀礼の範囲を超える」と指摘し、その受領は2014年度まで約20年に及ぶとした。

 今回の調査は、関西電力の幹部らが元助役から多額の金品を受け取っていたことが発覚したのを受けて行われた。関電は「断ると元助役に激高された」と釈明し、県職員に関しても同様の説明がされているが、受領が許されるはずもない。

 元助役は県の客員人権研究員として関係部署と関係を深める一方、関電や県から工事を受注してきた土木建築会社の顧問も務めていた。県職員の受領者には、工事を所管する土木部や出先機関の職員が含まれる。調査委は、他の部署も含めて「元助役からの請託や便宜を図った事案は確認されなかった」としたが、説得力に欠ける。

 そもそも調査自体が不十分だ。10月中旬に設置された委員会は3人の委員がいずれも県の顧問弁護士で、独立性に疑問符がつく。対象は元助役との接点が想定される部署に限られ、面接や書面で行った。強制力はなく、申告内容を確かめる実態調査もしないまま、約1カ月で報告書がまとめられた。

 関電の受け取りが発覚した際、福井県の杉本達治知事は「(原発の)立地地域との信頼関係を大きく損なう行為で、言語道断だ」と厳しく非難した。県職員の受領について「襟を正したい」と述べたが、こんな調査で済ませるのか。

 元助役は関電高浜原発3、4号機の増設で誘致や地元対策に力をふるったという。福井県は高浜町とともに原発の増設や再稼働の是非を判断する立場だ。調査委は、原子力対策を担う安全環境部と元助役に特段の接点は見受けられなかったとするが、金品の受領後、同部に勤務した職員もいる。行政に影響がなかったか、懸念は消えない。

 高浜町では、元助役が役員だった警備会社への業務委託の一部が特別監査で「不適切」とされた。入札をせずに随意契約だったためだ。町は近く元助役からの金品受領を調査する委員会を立ち上げる方針だが、実態解明への本気度が問われる。

 元助役による金品提供の闇はどこまで広く、深いのか。徹底調査が不可欠だ。

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