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 首相主催の公的行事を、他ならぬ安倍首相が私物化しているのではないかと指摘されている問題である。首相でなければ答えられない疑問点も多い。首相は堂々と野党の要求に応じ、国会で説明責任を果たすべきだ。

 「桜を見る会」をめぐり、野党が参院規則に基づいて開会を求めた予算委員会について、与党がきのう、首相が出席しない質疑なら応じると返答した。先の通常国会では要求自体を無視して批判を浴びたが、首相抜きの質疑では真相に迫れず、行政監視の実はあげられない。

 首相のこれまでの対応は、誠実に疑問に答えようという姿勢からは程遠いものだ。

 毎年、桜を見る会の前夜に開いていた後援会の懇親会に疑いの目が向けられると、首相官邸で「立ち話」の形で記者団に説明をした。会費5千円はホテル側が設定、参加者は会費をホテルに直接支払ったので、政治資金収支報告書に記載がなくても問題はない――。しかし、証明する明細書などは示されず、その後、数日にわたり、記者団が投げかけた追加の質問には、ほとんど無視を決め込んだ。

 先週の参院本会議では、自らの事務所が参加を募り、相談されれば意見も言ったと認めた。「招待者のとりまとめには関与していない」という従来の説明を翻したわけだが、本会議での答弁は言いっ放しで、食い違いを追及されることはなかった。

 やはり、一方的な言い分に終始させないために、一問一答でやりとりをする国会の委員会での質疑が不可欠だ。

 首相は桜を見る会をめぐる問題について、しばしば「長年の慣行」を強調するが、問題のすり替えはやめてほしい。確かに、政党・政治家の推薦枠の存在など、見直すべき慣行はあろうが、開催要領に明記された計1万人を超えて招待者が膨れあがり、実際の支出が予算の3倍以上に達したのは、第2次安倍政権下のことではないか。

 朝日新聞が16、17日に実施した世論調査では、招待者とりまとめへの関与を否定した首相の説明に68%が「納得できない」と答え、「納得できる」の23%を大きく上回った。首相が答弁を修正した後に実施した共同通信の調査では、首相の発言を「信頼できない」が69%で、「信頼できる」は21%だった。

 首相は「国会から求められれば、説明責任を果たすのは当然」という。国会で多数を占める与党が賛同しないことを見越した発言と言うほかない。政治家たるもの、疑念を持たれたら、求められずとも、すすんで説明するのが筋ではないか。首相は逃げずに、その責任に向き合うべきだ。

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