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 国境を越えて広がる環境問題にそろって対処していく――。先ごろ北九州市であった日中韓3カ国の環境相会合(TEMM21)は、政府間の協力強化を改めて確認して閉幕した。

 いずれもアジアで重要な地位を占める国だ。経済成長の代償として国内外の環境を傷つける一方、期間や程度の差はあれ、対策を講じてきた歴史をもつ。地域全体の環境政策をリードする責務があり、TEMMはその足がかりとなる舞台である。

 歴史認識や領土問題などの懸案を抱え、ときに緊張が高まることがあっても、3カ国は20年前から途切れずに対話のテーブルについてきた。環境対策の前進には粘り強い取り組みが不可欠であり、担当閣僚が定期的に話し合う意義は大きい。今後も息長く続けていくべきだ。

 もちろん顔を合わせるだけのセレモニーで終わっては意味がない。課題について認識を一致させ、解決の道筋を探り、ともに実現に努める必要がある。

 たとえば3カ国の間には、ヒアリ対策やPM2・5(微小粒子状物質)の発生抑止などの懸案がある。これまでTEMMでの対話をもとに、現状や対策に関する情報の交換、専門家による共同研究などが積み重ねられてきた。これらを事態の改善にどうつなげるか、具体的な成果を、わかりやすい形で示すことが問われよう。

 今回のTEMMでは、来年からの5年間で優先すべき共同行動計画の項目が決まった。大気汚染の改善など地域の課題のほか、気候変動や海洋プラスチックごみのように国際的な対応が迫られているテーマも含まれる。TEMMでの実践を、G20や東南アジア諸国連合(ASEAN)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)にも広げていくとしている。

 地球温暖化関連では、パリ協定の枠組み期間がいよいよ来年から始まる。海洋プラごみ対策でも、今年6月のG20大阪サミットで日本が主導して「2050年までに流出ゼロ」の目標が共有された。国際社会が大きく動く重要な時期だからこそ、日中韓の連携を大切にして存在感を示してもらいたい。

 中でもカギを握るのは中国の動きだ。中国は、温室効果ガスや使い捨てプラごみの排出量が世界で最も多い。また来年は、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の議長国を務める。この大国が本気で対策を進めるかどうかは、地球環境の未来を大きく左右する。

 TEMMで培ってきた協力関係をてこに、中国をしっかりつなぎとめ、行動を促す。国内対策の推進だけでなく、日本にはそんな役割も求められている。

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