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 列車などでスマホのゲームに夢中になっている人を見かけぬ日はない。それでも、事態の深刻さを痛感させる数字だ。

 10~29歳9千人を対象にした国立病院機構久里浜医療センターの調査(回収率56・6%)で、3人に1人が平日2時間以上をゲームに使っているとの結果が出た。4時間以上も1割。「やめなければいけない時にやめられなかった」と答えた人の割合は、ゲーム時間が長くなると高まり、6時間以上だと45%に上る。学業や仕事、健康に影響が出ている例も少なくない。

 世界保健機関(WHO)は今年5月、ゲームにのめりこんで健康や生活に支障をきたす状態を「ゲーム障害」として、ギャンブル依存症などと同じ疾患に位置づけている。日本も予防、診断、治療などの対策を急がなければならない。

 現在、専門的な対応ができる医療機関は一部に限られる。効果的な治療法の研究、指針の作成、相談窓口の整備、人材の育成など課題は多い。保護者や家族、学校の先生らに向けた啓発活動の充実も求められる。

 留意すべきは、ゲーム障害への懸念は若年層に限った話ではないということだ。実際、医療機関にはそれ以上の年代の受診者も増えていると聞く。

 ゲーム機は以前からあったが、オンラインでつながるスマホ時代を迎え、いつでもどこでも簡単に遊べるようになった。様々なアプリが登場し、ゲームを有利に進めるためのアイテムに課金するシステムも用意されている。スマホやネットなしでは仕事も日常生活も成り立たないため、アルコールやギャンブル以上に手を切りにくい。

 ゲームメーカーは自社が取り扱っている商品のこうした特徴を自覚し、実効ある予防策を講じる社会的責任がある。業界全体で検討を進めてほしい。

 最近は、対戦型ゲームを競う「eスポーツ」を部活動にとり入れる学校もある。今年の茨城国体でも行われた。長時間のゲームや練習が心身にどんな影響を与えるか。関係する団体は、実態把握や適切なルールづくりに取り組む必要がある。

 依存症について社会全体で理解を深めることも大切だ。ゲーム時間が長いというだけで、治療を要する病気だと決めつけるのは間違いだし、「やめられないのは意志が弱いからだ」と突き放すのも正しくない。

 背景を探ると、学校や職場などで、疎外感や生きづらさ、心の葛藤をかかえている人が多いといわれる。発達障害や精神疾患が関係している場合もある。そうしたところにまで目を配り、対策を考えていくことが欠かせない。

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