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 順位よりも大事なことを適切にくみ取り、必要な手当てを考えるようにしたい。

 経済協力開発機構(OECD)が3年ごとに世界の15歳の学力を測るPISA(ピザ)の結果が公表された。参加した79の国と地域の中で、日本は読解力が15位となり、前回(72の国・地域で8位)よりも下がった。

 もっとも数学と科学はトップクラスにあり、読解力についてもOECDは「長期傾向としては変化なし」と分析している。前回からコンピューターテストに移行し、学校でパソコンを使う機会が少ない日本には厳しい方式になったとの見方もある。文部科学省は全国学力調査など他のデータともつきあわせて、日本の子どもの学習到達状況を的確に分析してほしい。

 03年調査での成績下降が「脱ゆとり教育」への転換を後押しするなど、PISAは教育政策に与える影響が大きい。慎重な扱いが求められるゆえんだ。

 注目点はいくつかある。

 日本はかねて、「自分の考えを他人に伝わるように根拠を示して説明する」のが苦手といわれてきた。今回もそれは克服できていない。文科省によると、誤答の一つのパターンとして、問題文中の一節を写すだけで、自分の言葉で解答していない答案が見受けられたという。

 また、文章に寄り添って「理解する」のは得意だが、書かれている内容や筆者の考えの妥当性を吟味するといった「評価・熟考」型の問いには手を焼く傾向が指摘される。今回、OECD加盟国の平均正答率を10ポイント超下回った設問は14題あったが、うち9題がこの類型だった。

 学校教育の中で、他人の意見に流されずに自らの頭で考え、表現する。そんな習慣を身につけていないのではないかと思わせる結果だ。実際、テストとあわせて実施されたアンケートによると、「国語の授業で先生は生徒に対し、文章についての意見を言うように勧めている」と感じている生徒の割合は、平均を下回っていた。

 国内では長らく、もっぱら共感をもって作品を読む教え方が主流だった。それが00年のPISA開始以降、書かれていることをうのみにせず、批評的に読む方法の研究が進み、教科書も変わりつつある。しかし学校現場はその変化に追いつけていないと、秋田大の阿部昇特別教授(国語科教育)はみる。

 思考力を鍛える授業づくりには手間がかかる。教員の多忙化で、研修や教材研究の時間がとれなくなっていないか。大学の教員養成課程で新しい教え方を習得させているか――。しっかり検証して環境整備に努めるのが、文科省の使命だ。

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