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 東京電力福島第一原発の2号機で再来年、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しを始める。そんな廃炉工程の改訂案を、国と東電がまとめた。

 炉心溶融した1~3号機の原子炉内には、推計800~900トンの燃料デブリが残ったままだ。これらを取り出す作業は、廃炉への長く険しい道のりのなかでも最大の難所である。安全に配慮しながら、慎重に作業を進めなければならない。

 2号機はほかの2基に比べて放射線量が低いうえ、水素爆発が起きなかったおかげで原子炉建屋が残っており、放射性物質の周囲への飛散も避けやすい。2月の調査では、格納容器の下部にある石ころ状の燃料デブリを特殊な装置で少し持ち上げることにも成功した。

 3基のうち2号機は、もっとも条件が整っている。ここから作業を始める、という改訂案の方針は妥当だろう。

 まず試験的に数グラムの燃料デブリを取り出し、その成分や性質などを分析しながら、取り出す規模を段階的に大きくしていくことにしている。

 ただ、作業はきわめて難しく、難航が予想される。

 取り出しやすい石ころ状の燃料デブリばかりではなく、周囲に固くこびりついたものもかなりある。遠隔操作で取り出すのは容易ではない。状況に応じて複数の工法を組み合わせたり、的確に作業できる装置を開発したりする必要がある。だからこそ今回の改訂案は、作業完了の時期を示せなかった。

 ほかの2基は、さらに手間取る恐れが大きい。

 1号機はまだ燃料デブリを視認することさえできず、3号機の格納容器下部には大量の水がたまっている。この2基については、いつ作業を始めるのかを決められないのが現状だ。時間をかけて原子炉内の様子をつかみ、取り出す方法や手順を検討しなければならない。

 また、改訂案には、1~6号機のプールに残る使用済み燃料を2031年末までに運び出すことも盛り込まれた。4号機は搬出を終えたが、1~3号機はがれきや機器のトラブルのため作業や準備に手間取っている。

 燃料デブリの除去や使用済み燃料の搬出が遅れても、拙速な作業は厳に慎むべきだ。急ぐあまり深刻なトラブルが起き、長期にわたって作業が滞っては元も子もない。

 今回の改訂案で、国と東電は「事故後30~40年で廃炉完了」という目標は変えなかった。だが、安全かつ確実に作業することを優先すれば、工程の時間軸を見直さねばならない局面もこよう。丁寧な情報発信と地元との対話に努めてもらいたい。

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