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 多くの大手企業が就活生の情報を不適切に扱い、個人情報保護をないがしろにしていた。極めて憂慮すべき事態だ。再発防止を徹底する必要がある。

 就活情報サイト「リクナビ」の閲覧履歴に基づく「内定辞退率」の予測をめぐる問題で、政府の個人情報保護委員会は、運営主体のリクルートキャリア社が個人情報保護法に違反していたとして、2度目の是正勧告を出した。同時に、辞退率について契約した企業37社も、利用目的の通知や公表が不適切だったとして行政指導した。

 委員会は8月末に1回目の是正勧告をした。この時は、リクナビが得た就活生の氏名などの個人情報と、予測した内定辞退率をセットにして、本人の同意なしに求人企業に提供した場合が対象にされた。

 今回は、個々の就活生が使っている閲覧ソフト上の「クッキー」と呼ばれる符号と内定辞退率をセットにして提供した場合も、本人の同意がなければ法の趣旨を逸脱した不適切な行為と位置づけた。求人企業側で氏名とクッキーを結びつければ、結果的に、氏名と辞退率がつながるからだ。

 ただ、委員会は、こうした行為は法の潜脱(規制をかいくぐること)とするにとどめ、違法とまでは断じなかった。クッキーなどの扱いは来年の個人情報保護法改正でも俎上(そじょう)にのぼっており、規制の明確化が必要だ。

 求人企業側の責任も重い。内定辞退率のようなデータは、使い方次第で採用の判断に影響を与え、就活生に著しい不利益をもたらしかねない。本人の同意も確認せずに、こうしたデータを算出して利用することに、疑問をもたなかったのだろうか。

 集積されたデータから、本人の力の及ばないところで個人の評価が行われ、選別や排除の材料にされるのは、デジタル化時代の悪夢である。そうした事態を避けるべきだという倫理を共有しなければ、企業活動への信頼は失われるだろう。

 しかも、指導の対象になったのは、大量の個人情報を扱い、相応の法務部門を持てる規模の企業がほとんどだ。今回のような行為に簡単に手を出すようでは、個人情報を扱う資格が疑われる。リクルートキャリア社はもちろん、求人企業側も早急に社内調査を徹底して経緯と原因を究明・公表し、再発防止に努めるべきだ。

 経団連は最近、新卒一括採用など、就職活動の現状に変化を求める意見を表明している。だが、学生に対して企業側が優位な立場にあることを自覚し、企業側の都合を優先する姿勢を改めなければ、どんな提言も説得力を持たないだろう。

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