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 スポーツへの信頼を取り戻すための当然の処分である。

 ロシアの国家ぐるみによるドーピング問題で、世界反ドーピング機関(WADA)はロシア選手団と政府関係者を、東京五輪・パラリンピックを含む主な国際大会から4年間締め出すことを決めた。個別に審査を通った選手だけが、ロシア代表ではなく一個人として出場できる。

 プーチン大統領が「政治的な措置だ」と述べるなどロシア側は激しく反発するが、この結果を招いたのは当のロシアだ。

 疑惑は元選手らの告発で14年末に表面化した。WADAが調査を進め、スポーツ省の主導の下、不正は広範に及び、採取した尿をすり替えたり、違反を取り締まるべきロシアの検査機関(RUSADA)が選手に禁止薬物を渡したりしていたことが明らかになった。

 WADAはRUSADAに資格停止処分を科す一方、スポーツ大国であるロシアとの関係などを考慮し、昨年9月にこの制裁を解除。条件として、ロシア側が保管する15年当時の検査データを提出させた。ところが告発者から入手した資料などと突き合わせたところ、数百カ所にわたって書き換えられていることがわかり、改めて今回の決定に至ったという。

 ロシアはドーピングの事実は認めつつ、国家ぐるみであることを頑強に否定してきた。その主張とつじつまを合わせるための改ざんと見るのが自然だ。愚かな行為と言うほかない。

 スポーツ仲裁裁判所に提訴する意向のようだが、ロシアがいま行うべきは、正確なデータを速やかに提出し、過去の闇と完全に決別することではないか。

 国際オリンピック委員会(IOC)や各国際競技団体の対応も問われる。特にIOCは、16年リオデジャネイロ五輪と18年平昌冬季五輪の際、ロシアに腰の引けた対応をして、開き直りと混乱の長期化を招いた。今度こそ毅然(きぜん)とした姿勢で臨まなければ、ただでさえ懸念が生じている五輪の持続可能性に、さらに大きな疑問符がつく。

 ドーピングは競技の公平性を損ない、選手の健康にも害を及ぼす重大な非違行為だ。決して許されるものではないことを、いま一度確認したい。

 クリーンさが評価される日本でも、選手が風邪薬や栄養剤などから誤って薬物を摂取し、処分を受ける例がたまにある。スポーツに対する社会のイメージを傷つける残念な行為だ。

 医師や専門家と連携を深め、あらゆる場面からドーピングをなくす。それが、東京五輪・パラリンピックは成功だったと、将来言えるための前提条件だと関係者は肝に銘じてほしい。