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 2年前までの緊迫状態に戻るつもりなのか。この間の対話の流れを壊すなら、国の再建の道を自ら断つ愚挙でしかない。

 北朝鮮が軍事的な挑発を強めている。米国との交渉をめぐり年末を一方的に期限とし、居丈高な声明を連ねている。

 今月は、大陸間弾道ミサイル用のエンジン実験とみられる動きを2度みせた。米本土を射程に収めるとされ、「重大な実験」だと宣伝している。

 こうした挑発行為の裏には、北朝鮮側の焦りがあるようだ。国内に訴えてきた経済発展は順調とはいえず、悲願の制裁緩和を求めて米側との駆け引きに出たのだろう。

 最高指導者の金正恩(キムジョンウン)氏は今年の元日、こう演説していた。米国が約束を守らず、圧迫を加えるならば「新しい道」を探る、と。そうした約束も自らの選択肢を狭めているようだ。

 北朝鮮は古い思考を捨て去るべきだ。強硬姿勢だけが国際社会からの譲歩を引き出せると考える限り、実利を得られるような展望は開けない。

 事態を打開するには、非核化に具体的に動くしかない。10月に物別れに終わった米国との高官級の実務協議を再開させることが、その第一歩である。

 北朝鮮側はいまだにトランプ大統領との直接対話に期待している節もあるが、周到な準備交渉を伴わない首脳会談では物事は動かせない。それが過去3回の会談の教訓だ。

 米高官はいま、韓国と日本に滞在中で、北朝鮮に協議を呼びかけた。「妥当な段階と柔軟な措置を通じて」合意を導きたいと述べており、こうした提案に誠実に応じるべきである。

 一方、トランプ政権は、ここまで北朝鮮を増長させた責任を自覚すべきだ。5月以降、国連安保理決議違反である短距離弾道ミサイル発射が繰り返されても、黙認してきた。

 今月になって安保理の開催を求め、あらゆる弾道ミサイルが違反だと牽制(けんせい)しつつ、非核化交渉の用意を表明したが、およそ一貫性に欠ける。

 トランプ氏が来年の大統領選に向け、外交の実績づくりを意識しているのは周知の事実だ。しかし、北朝鮮の非核化をめぐって安易な取引に走るようなことはあってはならない。

 非核化の実現には忍耐力がいる。短期間で達成できるものではなく、北朝鮮の行動を見極めて進める長期的かつ段階的な措置が必要になる。

 そのために日本と韓国の両政府は、トランプ政権との綿密な政策調整をめざすべきだ。米国のブレを防ぎつつ、北朝鮮の挑発を抑え、非核化の道筋を探る努力が求められている。

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