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 外国人労働者の受け入れ拡大をねらった改正出入国管理法が成立して1年が経った。

 今年4月に新たな在留資格の「特定技能」が設けられた。しかし取得したのは2千人に満たず、政府がかかげた「初年度で最大4万7千人」に遠く届かない。認定に必要な技能試験の準備が整わず、人材を送り出す側の国々も制度づくりの途上にある。それが低迷の原因だ。

 法案を成立させるため、昨年秋の臨時国会で政府与党が見せた、あの強引・拙速な国会運営はいったい何だったのか。

 外国人政策の転換であるのは明らかなのに認めようとせず、制度の詳細について「検討中」を繰り返した末に、採決を強行した。そして今、見込み違いの理由を説明するわけでもない。

 当時から、春の統一地方選と夏の参院選をにらみ、人手不足に悩む産業界の支持を引き寄せるための選挙対策だ、との指摘があった。その正しさが裏づけられたといえよう。

 資格の取得者が少ないため、日本語教育を始めとする共生施策の不備が表面化していないのは皮肉と言うほかない。だが、見過ごせない現実がある。以前からある「技能実習」の資格で働く外国人が、増加の一途をたどっていることだ。年末には40万人に達する勢いだ。

 この制度をめぐっては、法改正前と同じく、問題が相次いで発覚している。

 違法残業や計画と異なる仕事をさせるなどの法令違反が見つかった事業所は、18年中に5千カ所を超え、5年連続で最多を更新。今年になっても、日立や三菱自動車など主要企業での逸脱行為が明らかになり、チェックの目を光らすべき受け入れ団体が不正に関与したとして処分を受けた。失踪した実習生は6月までに4500人に上り、昨年の9千人に並ぶ勢いだ。

 技能を習得して母国で生かしてもらおうという国際貢献の建前と、安い労働力を確保する手段になっている現実と。その乖離(かいり)は一向に解消されず、賃金不払いや雇用主による暴力などの人権侵害も絶えない。

 朝日新聞の社説は、制度を根本から見直し、同じ社会の構成員として外国人を受け入れる施策を講じるよう訴えてきた。しかし、まがりなりにも反省を踏まえて設計された「特定技能」は停滞し、矛盾に満ちた「技能実習」は拡大を続ける。危うい事態と言わざるを得ない。

 政権が否定しようが、大勢の外国人がくらし、働く日本は、既に「移民国家」と呼ぶべき状態にある。将来像をどう描き、現にある問題をいかに克服・是正していくか。社会全体で模索し続けなければならない。

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