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 政府の全世代型社会保障検討会議の中間報告がまとまった。

 安倍政権が「最大のチャレンジ」と位置づけるわりに、示された改革案は限定的で、多くの人が社会保障制度に抱く不安に十分応えたとは言い難い。

 「制度の持続性」と「必要な給付」のバランスを、どうとるのか。財源も含めた全体像、長期的な展望を示す、幅広で骨太な議論から逃げてはならない。

 中間報告の大きな特徴は、元気な高齢者に働いてもらい、社会の支え手を増やす方向性を示したことだ。

 70歳までの就業機会確保に向けた法整備や、年金の受取時期を遅らせて、その分将来の受取額を増やすことができる仕組みの拡充などによって、これを後押しする。

 高齢者が働き続ければ、少子高齢化が進んでも働き手の減少に歯止めをかけ、社会保障制度の財政基盤を強化することができる。大事な取り組みであり、着実に進めたい。

 ただ、それで社会保障の給付と負担の見直しが必要なくなるわけではない。両輪でしっかり進めるべきだ。

 今回、75歳以上の医療費窓口負担を、一定所得以上の人は2割(原則1割、現役世代並み所得の人は3割)にすることや、紹介状なしで大病院の外来を受診する人の負担額を増やす案が提起された。

 高齢者であっても負担できる人に応分の負担を求めることは理解できる。

 ただ、医療の必要度が高い高齢者の家計への影響や、どこまで負担を求めることができるのかは、慎重な検討が必要だ。これらの改革で財政上の効果がどれだけ見込めるのかも、制度を具体化するなかで、わかりやすく示すことが求められる。

 医療以上に給付の伸びが大きい介護については今回、踏み込んだ言及がなかった。

 年金は8月に公表した財政検証で、基礎年金の保険料を払う期間を65歳まで延ばすとどれだけ底上げ効果があるか試算が示された。しかし、こうした案も全く議論されなかった。

 歯止めがかからない少子化への手立てについてもしかりだ。

 これでは、安倍首相がいう「全ての世代が安心できる社会保障制度を大胆に構想する」ことなど、とてもできない。

 先の参院選で、首相が「今後10年間くらいは消費税を上げる必要はない」と発言したことが足かせになり、議論の幅が狭められているのではないか。

 安心して暮らすために必要な給付は何か。その財源はどう賄うのか。あるべき社会保障の姿を構想できるよう、議論を深めなければならない。

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