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 政権の取り組みのアピールや自らが意欲を示す改憲については滔々(とうとう)と語る一方、「桜を見る会」をめぐる質問にはほとんど答えない。説明責任に真摯(しんし)に向き合おうとしない安倍首相の姿勢は、年が改まっても変わっていないと言わざるをえない。

 首相がきのう、年頭の記者会見を行った。夏に迫った東京五輪・パラリンピックの準備に万全を期すとともに、全ての世代が安心できる全世代型社会保障の実現を内閣の「最大のチャレンジ」と位置づけた。

 米国とイランの軍事衝突の懸念が強まる中東情勢については、冒頭発言で取り上げた。「さらなるエスカレーションは避けるべきで、緊張緩和のための外交努力を尽くすことを求める」と、すべての関係者に呼びかけたのは当然だ。

 ただ、日本政府の反応は鈍くはなかったか。米軍によるイランの司令官殺害は3日。フランス、ドイツなどが早々に関係国の自制を促す声を上げるなか、政府の公式見解はきのうの首相発言まで示されなかった。

 米国の同盟国でありながら、イランとも友好関係を保つ日本は、両者の「仲介」に努めてきたのではなかったか。今こそ、戦争回避のための知恵と行動が問われる局面だ。首相はきのう「日本ならではの外交」を粘り強く続けると語った。言葉だけに終わらせてはいけない。

 首相は同時に、中東海域への自衛隊派遣に変わりがないことも表明した。昨年末の閣議決定時から現地情勢は大きく変化したのに、新たなリスクをどう判断し、どう備えるのかの説明は一切なかった。このまま既定路線を突き進むのは許されない。

 改憲については、記者の質問に答えて持論を展開した。「私自身の手で成し遂げるという考えに全く揺らぎはない」と強調、今年の通常国会で原案の策定を加速させたいと述べた。しかし、その前提として語った、改憲へ国民的意識が高まっているという現状認識は、実態と明らかに乖離(かいり)している。

 対照的だったのが、桜を見る会の質問に対する素っ気ない対応だ。オーナー商法で行政指導を受けたジャパンライフの元会長が首相の推薦枠で招待されたのではないかという指摘に対し、これまで同様、個人情報を理由に回答を拒否した。

 世論の批判を「謙虚に受け止め、今後も丁寧に対応する」という発言もあった。とはいえ、森友・加計問題を振り返れば、首相の「謙虚」「丁寧」を額面通りには受け取れない。「いや、違う」というのであれば、首相は今年こそ、自らに不都合なテーマについても、逃げずに正面から説明を尽くすべきだ。

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