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 安倍首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が始まった。演説で素通りした数々の不祥事への答弁が注目されたが、首相は従来の説明の繰り返しに終始した。これではとても信頼回復にはつながらない。

 立憲民主党の枝野幸男代表は冒頭、「利権・私物化・隠蔽(いんぺい)」という「安倍政権の体質」をただすとして、桜を見る会、カジノ汚職、辞任2閣僚の公職選挙法違反疑惑を取り上げた。

 桜を見る会では、地元の支持者を大勢招待し、無料で飲食を提供するのは買収と同じだと指摘。首相は「招待者は最終的に内閣官房、内閣府でとりまとめている」ので公選法には違反しないと反論、後援会主催の前夜祭にも問題はないと主張した。

 しかし、自ら積極的に疑念を晴らそうという様子は全くうかがえない。前夜祭の明細書は、ホテル側が「営業の秘密」を理由に拒んでいるとして公開に応じず、廃棄済みとされる昨年の招待者名簿の再調査も、指示する考えはないと言い切った。

 この問題では、保存期間が過ぎ、廃棄したと説明してきた過去の関連資料が最近、見つかっている。昨年の名簿が何らかの形で残っている可能性は否定できないはずだ。首相は名簿の電子データの廃棄時期がわかるコンピューターの履歴の確認も「不正侵入を助長する恐れがある」として拒否した。

 首相の後ろ向きな姿勢は、他の二つの問題も同様だ。自らが副大臣に任命した秋元司衆院議員の逮捕を「重く受け止める」と言いながら、「IR(統合型リゾート)はカジノだけでなく、家族で楽しめるエンターテインメント施設」だとして推進方針を維持。いまだ疑惑についてきちんと説明していない辞任2閣僚に対しても、「一人一人の政治家が自ら襟を正すべきだ」と本人任せ。任命権者として無責任極まる。

 一連の疑惑の追及の後で、枝野氏は党の「政権ビジョン」を示し、安倍政権の経済政策や社会保障、エネルギー政策などへの対案をぶつけた。自己責任論や「小さすぎて無責任な政府」から脱却し、分配のあり方を変えようという構想だ。

 きのう質問に立った国民民主党の玉木雄一郎代表も、女性や子ども、若者、環境に特化した政策の必要性を訴えた。いずれも、次の総選挙を見据え、安倍政権との対立軸を明確にしようという試みだろう。

 両党は昨年来の合流交渉がまとまらず、当面は別々の党のまま国会の統一会派として連携することになった。あつれきを引きずることなく、結束して政権に対峙(たいじ)し、民主主義を立て直す役割を忘れてはならない。

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