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 中国で多くの人が移動する春節の大型連休が始まった。感染の広がりの封じ込めに向けて、まさに正念場といえる。

 昨年末に中国・武漢で発生した新型肺炎について、世界保健機関(WHO)は「現時点では国際的なレベルでの緊急事態には当たらない」と判断した。中国の国外ではヒトからヒトへの感染が確認されていないことなどを踏まえた見解だ。

 だが同時に、まだピークに達したとはいえず切迫した状況にあるとの認識を示し、警戒と情報の共有を呼びかけている。感染力や毒性、伝播(でんぱ)の経路を見極め、WHOのもとで冷静・適切に対処していく必要がある。

 被害の拡大を防ぐ第一歩は、流行地からの渡航者に発熱やせきなどの症状があれば、ただちに検査することだ。感染が確認されたら、家庭や職場などで接触のあった人にも経過観察などの協力を依頼する。ただし潜伏期間や、症状が軽い例もあることを考えると、水際対策には限界がある。入国後に発症した患者を医療機関で見逃さず、迅速に対応することが重要だ。速やかに検査できる態勢を各地に整えることが求められる。

 個人の取り組みも問われる。

 インフルエンザの流行シーズンでもある。手洗いをはじめとするふだんからの対策を怠らない。異常を感じて医療機関を受診する際、直前に海外を旅行していれば忘れずにその旨を伝える――。ここでも基本に忠実に行動することが大切だ。

 新型肺炎の病原体は、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)と同じ仲間のウイルスだ。

 02年に中国・広東省で発生したSARSは、30カ国以上で約8千人が感染し、収束までに半年を要した。大流行を招いた一因は、当初、中国政府が情報を隠し、初動対応が遅れたことにある。今回も、1月中旬以降に患者が急増し、処置に当たった医療関係者の感染が明らかにされた。情報を適切に開示していたのか問われるところだ。

 重症化する割合は、SARSやMERSに比べて、今のところそれほど高くないようだが、警戒すべきはこの医療関係者への感染だ。医療現場を介した拡大は、SARS、MERSいずれの時にもあり、大きな教訓になっている。

 いわゆる疑い例も含めた患者への専用マスクの装着、処置前後の手洗い、器具の消毒などの防御策を徹底して、同じ轍(てつ)を踏まないようにしてほしい。

 中国は武漢を「封鎖」し、市民の移動を実質制限する措置に踏みきった。事態が落ち着いた段階で効果や弊害を検証し、今後にいかすことも大切だ。

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