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 ふるさと納税の新制度の対象から大阪府泉佐野市を外した総務省の判断を、大阪高裁がほぼ全面的に認める判決を出した。

 かつての制度でたびたびあった通知や要請に従わず、アマゾンギフト券などで多額の寄付を集めたことを理由にした是非が、問われていた。

 国と自治体の争いを審査する第三者機関の国地方係争処理委員会は昨年、「直ちに、かつ、一律に」対象外とすることは、法律が認める範囲を越えるおそれがあると勧告。総務省は再検討を求められたが姿勢を変えず、市側が提訴していた。判決は、総務省の判断や基準は裁量の範囲内だとした。

 泉佐野市は不服として上告する方針で、決着にはなお時間がかかりそうだ。

 本来は対等で、協力し合うべき国と自治体の関係がなぜ、ここまでこじれたのか。

 総務省は裁判の書面で、今回の案件を「国家の統治機構の構成主体間の内部解決にゆだねられるべき事柄」としている。

 節度のない泉佐野市のふるまいは、判決が指摘するように、厳しく批判されて当然だ。

 一方で、総務省は自治体と信頼関係を築く努力をどこまで重ねたのか。「上下・主従」の目線はなかったか。法廷闘争にまで発展した要因を、省みる必要がある。

 そもそも、ふるさと納税は制度設計の甘さから、さまざまなひずみを抱えたままだ。

 判決が言うように、「寄付という経済的利益の無償供与の法的枠組み」であれば、返礼品を認めないのが筋だろう。利用が伸び悩み、寄付をする人の税優遇を手厚くする法改正をして、理念よりお得感を際立たせてきたのは、総務省だ。

 首里城再建など、返礼品がなくても多くの金額を集める寄付もあるが、専用サイトでは商品から選ぶ方式がなお目立つ。

 高所得者ほど税の優遇が大きく、返礼品もたくさん受け取れる問題では、上限額を定率から定額にすることなどを検討すべきだ。寄付者が多くいる都市部の自治体から、財源が流出する課題への対策にもなる。

 ふるさと納税の影響で、川崎市では今年度に56億円の住民税の減収が見込まれ、東京都世田谷区は新年度には70億円にふくらむと見る。さらに増えれば、教育やインフラの維持などにも支障をきたしかねない。

 自治体が福祉などに使う民生費は10年間で、9兆円あまり増えた。地方財政と税制の全体を見回した改革も求められる。

 そのなかで、ふるさと納税が果たす役割とは何か、どんな姿が望ましいのか。納税者としても考えたい。

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