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 新型肺炎による中国本土の死者は400人を超えた。医療態勢の不備が指摘されるなか、02~03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)を上回った。日本政府としても、浮上した課題を整理し、様々な展開を想定しながら適切な対応を探りたい。

 発生地の湖北省武漢市からチャーター機で帰国した人々に、政府は用意した宿泊施設から2週間外出しないように要請してきた。検査で陰性だった人にも施設での滞在を求めるのは、法律の規定にはない措置だ。

 日を重ねるにつれてストレスもたまるだろう。生活面での要望にていねいに耳を傾けるとともに、ケアにあたるスタッフの心身の疲労にも目配りしてもらいたい。これまで、宿泊環境の整備や施設のある地元自治体・住民への説明など、後手にまわった事項は多々ある。今後への重要な教訓だ。

 中国からの渡航制限に踏みきる国が増えるなか、日本も今月から、過去2週間以内に湖北省に滞在した外国人と、同省発行の中国旅券をもつ外国人の入国を認めないことにした。

 未知の病原体を国内に入れない「水際対策」の重要性は言うまでもない。一方で強制を伴う措置については、プラスとマイナス双方の効果を考慮してその採否を決め、発動する場合にも行きすぎのないよう慎重に判断しなければならない。

 世界保健機関(WHO)がウイルスの潜伏期間を2~10日とみていることを受けて、政府は「2週間」としていた施設滞在期間を「10日」に短縮すると発表した。この件に限らず、最新の知見を踏まえ、合理的な対応に努める必要がある。

 あわせて、ウイルス検査をする対象を広げることが、きのう決まった。国内でも人から人への感染が確認されており、患者のさらなる増加や重症者の発生も予想される。そうした事態にも対処できるよう態勢を整えることが欠かせない。海外の例も参考にしながら、診察・治療の指針づくりを急いでほしい。

 経済への影響も懸念される。

 中国からの旅行客の激減は、既に各地の観光関連産業に打撃を与えている。中国内に立地する日本企業の生産・販売拠点にも操業の停止や制限が広がる。中国経済が減速すれば世界にとって強い逆風になる。

 そうでなくても昨年10~12月期の日本経済は、米中貿易摩擦や消費税率の引き上げなどで、かなりの幅のマイナス成長になったとの見方が強い。

 政府・日銀は予断をもたずに足元の動向を精査し、情報を発信する必要がある。資金繰りの実態なども見極め、状況に応じて対策を準備するべきだ。

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