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 進学や就職、結婚、出産、子育て……。10代半ばから30代のAYA(アヤ)(思春期・若い成人)世代は、多感な時期を経て、さまざまな人生の節目を迎える。

 病気などで長期の治療が必要になった時、不安や孤立感を強めやすい世代でもある。どんな支援が必要か。がんの治療などで病院が模索を続け、専門家と患者らが研究会で議論を重ねていることを手がかりに、社会全体で考え、実行していきたい。

 大阪市立総合医療センターは2年前、AYA世代専用に27床の病棟をつくり、がん患者を中心に受け入れている。

 病棟には患者と家族が交流できる場を設けた。周りから取り残されるという患者の焦りを和らげるため、スタッフの活動は医療分野以外に広がる。病院と学校を通信回線で結んで遠隔授業を実現し、センターで働く多様な職種の人たちが協力し模擬の職業説明会を開いてきた。

 いち早く15年にAYA世代の病棟を設けたのは静岡がんセンター(静岡県長泉町)だ。学業から経済的な問題まで幅広い悩みを「よろず相談」で受け止める。医療ソーシャルワーカーの御牧(みまき)由子さんは「社会に壁があれば、一緒に乗り越えていけるよう解決策を探します」。ハローワークと出張相談会を開くなど、病院外の機関に協力を仰ぐ。

 一般社団法人「AYAがんの医療と支援のあり方研究会」(名古屋市)には、医療関係者や学者、がん経験者とその家族らの有志が集う。副理事長で国立国際医療研究センター医師の清水千佳子さんは「医療関係者の努力だけでは限界がある」と訴え、全国14の医療施設をモデルに地域の様々な機関との連携に力を入れている。

 こうした試みに、どれだけ応えられているだろうか。

 教育現場では、広島県教委が昨秋、高校からの遠隔授業で病院に教員がいなくても出席扱いする方針を示し、教員配置を原則としてきた文部科学省も配置不要に転じた。高校生が病室で授業を受けた広島大学病院の医師は「目標ができれば治療への意欲も増します」と指摘する。

 ただ、このような事例はまだ少ない。特に高校は、院内学級が一定数ある小中学生と比べて対策が遅れている。国と自治体が協力し、広島と同様の仕組み作りを急いではどうか。

 就労をめぐる課題も山積している。治療中の職場の同僚を支える動きは少しずつ広がってきたが、新たに働くことを目指す人への門戸は狭いままだ。

 支援の必要性は世代や病名を問わない。「若者とがん」を例に、皆が夢や希望に向かって歩んでいける社会にしたい。

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