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 原発の審査を、根幹から揺るがしかねない事態である。

 日本原子力発電・敦賀原発2号機(福井県)の新規制基準に基づく審査資料を、原電が黙って書き換えていた。「再稼働実現のために改ざんしたのでは」と疑われても仕方あるまい。

 原子力規制委員会が審査を中断し、調査資料の原本の提出を求めたのは当然だ。

 敦賀2号機をめぐっては、規制委の有識者会合が「原子炉建屋の直下に活断層が走っている可能性がある」と報告した。これを規制委が認めたら運転できなくなるが、原電は「活断層ではない」と主張して審査を申請した経緯がある。

 書き換えられたのは、ボーリング調査で採取した地層サンプルの観察記録だ。たとえば、原電は一昨年の審査資料にあった「未固結」という記述を無断で削除し、「固結」と書き加えていた。同じような事例が、少なくとも十数カ所あるという。

 もとの資料は肉眼で観察した記録だったが、顕微鏡で調べたら結果が異なっていたので最新情報に修正した――。原電はそう説明し、「悪意はない。意図的ではない」と釈明した。

 だが、観察記録のような生データの書き換えは、一般の研究論文なら改ざんと認定されてもおかしくない。原電が問題の重大さを認識していなかったのは、あきれるばかりだ。

 「生データに手を加えれば議論に誤解が生じる。本当にひどい」と規制委の更田豊志委員長が批判したのも無理はない。

 看過できないのは、今回の書き換えが審査の行方を左右しかねなかった点である。規制委が活断層と判断するか否かは今後の審査しだいだが、その際にボーリング調査のデータは重要な役割を担うのだ。

 原発専業の原電は、4基のうち2基の廃炉が決まり、残る敦賀2号機と東海第二原発の再稼働に社運がかかる。ぜひとも運転を認めてもらおうと、活断層説が弱まるようにデータを書き換えたのではないか。そんな疑いがぬぐえない。

 悪意も意図もなかったというのなら、原電は詳しい事実関係を明らかにする責任がある。

 原発を運転できるかどうかが経営に大きく影響するのは、電力各社に共通しており、業界あげて早期の再稼働を望んでいる。だからといって再稼働に不都合なデータが隠され、都合のいい資料ばかりが提出されるようでは、審査が骨抜きになってしまう。業界全体で改めて襟を正すべきだ。

 規制委の厳正な審査こそ、原発の安全性を担保する。それが福島の原発事故の重い教訓であることを、忘れてはならない。

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