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 文部科学省の「大学入試のあり方検討会議」が先月から始まった。共通テストへの英語民間試験と記述式問題の導入が土壇場で見送られたのを受け、仕切り直しのために設けられた。

 だが、これまでの3回の会議を見ると、その反省をふまえた運営になっているのか、疑問を抱かざるを得ない。

 まず審議期間の問題だ。

 文科省は「1年をめどに結論を得たい」と繰り返す。新指導要領で学ぶ最初の学年は25年1月の入試を受けるので、それにあわせて改革したい。受験生や大学への周知期間を考えると、検討に割けるのは1年だ――。

 そんな理屈だが、説得力があるとはとても思えない。指導要領の切り替え時期などお構いなく「21年1月導入」で走り、今回の混乱を引き起こしたのは当の文科省ではないか。

 民間試験と記述式の導入をめぐっては課題が噴出している。1年で解決策を出すのは難しいとの考えを、検討会議の少なからぬ有識者が示している。期限を切って急がせれば、昨年の二の舞いになりかねない。

 会議にどんな姿勢で臨むかという基本認識でも溝がある。

 文科省側は「大学入試の英語には読む・聞く・話す・書くの4技能の試験が必要」という、従来と変わらぬ方針で議論を進める構えだ。一方、会議のメンバーからは「4技能が大切だからといって、全て入試で測らねばならないという話にはならない」との指摘が出ている。

 中でも「話す」については、高校で習得できる環境がないまま一律に試験を課せば、家庭の経済力や住む地域による不公平を助長する。学校教育での指導体制もあわせて見直すべきだというのが、一連の経緯から酌むべき教訓だ。根本に立ち返った議論が求められる。

 記述式問題に関しても、共通テストに盛り込む必要があるのかとの声が相次ぐ。

 各大学の個別入試に委ねる場合、とりわけ受験生が殺到し、採点業務の負担が重い大規模な私立大学の対応が焦点となる。最終的にはどんな学生を迎え入れたいかという大学側の判断だが、記述式を課す割合を広げるところには、対象人数に応じて助成金を出すといった漸進的な方法も考えられよう。

 課題は他にもある。例えば、一般入試でも「主体性」を評価する仕組みが導入された。実施大学はまだ少ないが、これにも海外経験や校外での多様な活動にお金を使える家庭の子が有利になるとの懸念が出ている。

 共通テストだけでなく、全体を俯瞰(ふかん)し、受験生や家庭、教育現場に過度な負担をかけない公正な選抜方法を探るべきだ。

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