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 ■Reライフ 人生充実

 昨年「老後資金2千万円不足問題」が注目されました。そして消費増税、社会保障の負担増……。家計への逆風が吹くほどに、お金を巡る問題には無関心ではいられません。それに対応して、1月の読者会議サロンなど朝日新聞Reライフの催しでも、マネー周辺のテーマを取り上げる機会が増えました。読者会議メンバーの皆さんが、老後のお金について学んだエッセンスを、ここに共有します。

 ■家計を「見える化」息長く働こう

 朝日新聞東京本社で1月24日、読者会議メンバー約70人が参加して開催された第5回読者会議サロン。そのテーマは「人生100年時代・資産寿命をどう延ばすか」だった。講師は、大手証券会社出身の経済コラムニストの大江英樹さんが務めた。

 資産寿命を延ばすためには、(1)可能な限り働き続ける、(2)生涯にわたる収支を把握する、(3)社会保険のことを勉強することが大切だと語った大江さんは「もしも貯金や不動産などの金融資産が少なかったとしても、あなたには働いて稼ぐ『人的資本』がある」と説いた。60歳で定年退職したとしても、65歳までの5年間を年収240万円で働き続けることができれば、1200万円を稼ぎ出すことができる計算になる。「毎日が楽しくなる『何か』を見つけ、働き続けることです」

 老後の暮らしを考える上では、家計の「見える化」が大切だ。「老後資金の不安の最大の原因は、分からないこと。老後の収入と支出が見えないから、どれだけ備えればいいのか分からず不安になる」と指摘。大江さん自身は定年の2年前から家計簿を付け始め、夫婦2人が使う生活費の額を把握したという。

 その上で資産寿命を延ばすためには、公的な社会保険の仕組みをしっかり理解することが必要となる。現役世代が老後の収入を知るには、日本年金機構から送られる「ねんきん定期便」を見て、将来の年金額を確認するのが第一歩。公的保険の内容を知らずに民間保険に入りすぎている人も多いため、無駄な支出を続けないよう注意を促した。

 大江さんは、老後は公的年金で日々の生活をまかない、働いた収入で生活を楽しむことを勧める。退職金や貯金は、介護や医療が必要になる時のために取り崩さない。そうすれば、老後のお金の負担はだいぶ軽減されるはずだ。

 講演後は、参加者が数人ずつに分かれて「老後のためにやっていること」や「定年後の働き方」について意見交換。「定年後も働き続けたい」人や「投資に興味がある」と語る人が目立った。

 サロンに参加した「読者リポーター」の野川明美さんは「老後資金としてさらに2千万円が本当に必要なのかうのみにせず、自分のこととしてよく考えることが大事だと感じた」。神林美樹さんは「必要な資金の額が具体的に分かれば老後を怖がることはないと分かり、他の参加者と話が弾んだ。人生後半も楽しみながら納得できる時間を過ごしたいと思っているのは、私だけではなかった」と、感想を寄せていた。

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 読者会議サロンの詳細は、「『老後のお金』の備え方」特集(http://t.asahi.com/rougo別ウインドウで開きます)をご覧下さい。

 ■手取り増やすため控除活用 ファイナンシャルプランナー・深田晶恵さん

 4千件以上の家計相談を受ける中で「老後のお金」に不安を感じている人が増えていると感じます。50代で定年が見えてきても、老後資金をためられていない世帯が多いのです。

 その要因の一つに「手取り年収の減少」があります。手取り年収とは、年収の額面から、所得税・住民税と社会保険料を引いた金額のこと。年々それらの負担が増え、手取り額が減っているのです。

 独自に2002年から、年収額ごとに手取り額がどれぐらい減っているか試算を続けています。配偶者と15歳以下の子ども2人の扶養家族がいる、給与の額面年収700万円の人の手取り額は、15年間で50万円も減少。年金収入300万円の人の手取り額は、20年間で36万円も減っています。

 シニアが手取りを増やすコツは「控除」を賢く使うことです。退職時や60代以降に使える「退職所得控除」「公的年金等控除」をフル活用し、非課税枠を使い残さない。退職金は、年金として受け取るより、一時金の方が手取り額で有利な場合もあります。1年間の年金額が大きいほど、税や社会保険料の負担が重くなるからです。(昨年開催の第1回読者会議サロンでの講演から)

 ■主体的に使って「いい顔」に 作家・楠木新さん

 定年退職前後のサラリーマンを数百人取材して、気になることがありました。会社一筋で働いて蓄えたお金を、自分の楽しみのために使えていない人が結構いることに気付いたのです。

 意識だけ30年後に飛び、老後のお金が赤字にならないように逆算して、お金と定年後の過ごし方とを分けて考えている。そんな人は、楽しそうではありませんね。いきいきと暮らすのに必要なのは、お金だけではないはず。定年後の居場所は、お金では買えませんから。

 大切なのは主体性と行動です。毎日をいい顔で過ごしている人は、主体的にお金を使っています。楽しみのためにお金を使っても、決してべらぼうな額にはならないというのが、取材で得られた私の実感です。

 生きがいを見つけるのに、遅すぎるということはない。子どもの頃好きだったことに、もう一度取り組むのもいい。自分が「いいな」と思う人を見習ってみれば、今後たどる人生の参考にもなるでしょう。

 なかなか行動は起こせないかもしれない。でも、読者会議サロンに来るような人なら大丈夫。いい顔で定年後を過ごすための「予選」を、もうクリアしているでしょうから。(談)

 ■読者会議サロン、参加者募集中

 【4月】24日午後4~6時。東京で開催。講師は家事研究家・翻訳家の佐光紀子さん。テーマは「ひとりで抱えない『家事半分術』」です。

 【5月】23日午後2~4時。大阪で開催。ベストセラー「定年後」で知られ、この特集にも登場した作家で神戸松蔭女子学院大教授の楠木新さんが講師。テーマは「定年後のお金」です。

 応募受け付け中。いずれも読者会議メンバー限定。参加無料(応募者多数の場合は抽選)。

 <メンバー登録・イベント詳細は> http://t.asahi.com/dkaigi別ウインドウで開きます

 ◆この特集は見市紀世子、撮影・篠田英美、山本友来が担当しました。

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