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 疑惑が報じられて4カ月。説明責任も果たされないまま、ついに秘書の刑事責任が追及される局面になった。国会議員としての進退にもかかわる重大な事態である。

 昨夏の参院選広島選挙区で初当選した自民党の河井案里氏の選挙運動をめぐり、案里氏と夫で前法相の克行衆院議員の秘書ら3人が、公職選挙法違反の疑いで広島地検に逮捕された。選挙カーでマイクを握る車上運動員に対し、法定上限を超える報酬を支払った買収容疑である。

 選挙運動はボランティアが原則だ。車上運動員には例外的に報酬が認められているが、1日1万5千円の上限がある。河井氏の陣営は名目の異なる領収書を2枚作成し、上限内に収まるよう工作していたとされる。

 候補者本人が買収にかかわっていなくても、秘書の有罪が確定し、連座制が適用されれば、当選は無効になる。まさに議員の身分に直結する問題だ。

 克行氏は昨年10月、週刊文春が疑惑を報じた翌日に法相を辞任した。その際、案里氏ともども、事実関係を調査し「説明責任を果たしたい」とコメントしたが、約束が果たされることはなかった。

 夫妻はきのうも「捜査中」を理由に「事実関係に関するコメントは、現時点では差し控える」とする1枚紙のコメントを出しただけ。一貫して説明責任に背を向ける姿勢は、国会議員として許されるものではない。

 車上運動員とは別に、企業などを回って支持を働きかけた陣営関係者が、案里氏側から約96万円を受け取ったとの趣旨の供述をしていることもわかっている。報酬であれば公選法違反だ。案里氏の選挙運動が適法に行われていたのか、捜査当局には全容の解明を求めたい。

 案里氏の擁立を主導し、全面的に支援した安倍首相と党執行部の責任もまた重いと言わざるを得ない。

 改選数2の広島選挙区には、他に自民党公認の現職がいたが、党本部は案里氏側に、現職への10倍にあたる1億5千万円を渡していた。潤沢な政治資金を使ったなりふり構わぬ選挙運動が事件の背景になかったか。

 首相はこれまで克行氏を法相に起用した任命責任は認めながらも、説明責任を果たすよう求めることもなく、本人任せの姿勢に終始してきた。

 きのうの参院予算委員会でも「捜査に影響を与える可能性がある。コメントは差し控えたい」と繰り返し、野党議員から議員辞職を促すよう迫られても、「政治家一人一人が判断することだ」と突き放した。説明責任から逃げ続けているのは、首相もまた同じである。

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