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 疫病との闘いを着実に進めるためにも、経済の安定は欠かせない。機敏な対応が必要だ。

 主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は緊急電話会議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響に対し、財政措置を含め「全ての適切な政策手段を用いる」との共同声明を出した。続いて米連邦準備制度理事会(FRB)も臨時会合で、0・5%幅の利下げを決めた。

 2月中旬以降、各国の株式市場は下げ足を速めた。国内の消費関連指標も急落し、実体経済への影響も顕在化している。

 経済協力開発機構(OECD)は20年の世界の実質経済成長率見通しを2・4%とし、昨年11月時点より0・5%幅下げた。日本の見通しは0・2%に下方修正されている。感染がアジアや先進国全体で広がれば、さらに世界的に成長率が押し下げられるとも指摘した。

 感染拡大を防ぐために、人やモノの移動や接触がある程度制約されるのは、やむをえない面もある。だが、経済活動が急速に縮小すれば、経済弱者ほど生活が苦しくなりかねない。ひいては、健康維持や感染抑制にも悪影響を及ぼすおそれがある。各国政府・中央銀行は状況を一段と注視し、対応に万全を期さねばならない。

 日本では当面、対中輸出や外国人旅行客の消費、イベントや外出の減少など、需要の落ち込みが続くとみられる。直接打撃を受ける企業や働き手への資金繰り、雇用・所得の維持に加え、経済全体での需要不足への対応も考慮すべきだ。

 景気は新型コロナの問題以前から相当に弱含んでおり、対策が後手に回れば事態が悪循環に陥りかねない。

 一方で、感染拡大防止のために公共事業の工事が停止されていたり、市民の外出が抑制されたりといった状況のなかで、通常の財政出動は効きにくい面もある。部分的とはいえ、世界的な供給網の途絶で生産を縮小している企業も出てきた。

 日本は財政・金融政策とも余力に乏しく、残る手段を効果的に用いなくてはならない。まずは、医療や感染予防対策関連の支出を十分に実行しつつ、低所得者層の生活を下支えするような策を準備すべきだ。各国が対応に動く中、為替相場の急変にも注意が必要だろう。

 今回の事態がいつまで続くか見通すことは難しいが、感染拡大にブレーキがかかれば、経済への悪影響も和らぐはずだ。民間企業も過度に悲観に陥ることなく、必要な設備や人材への投資を持続してほしい。これまでの好景気で蓄えた手元資金を活用するときだ。

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