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 新型コロナウイルスの感染の広がりを受けて、東京都の小池百合子知事が週末の外出自粛などを要請した。近隣の各県も歩調をあわせることになった。

 移動の自由は大切な人権の一つだが、ここは一人ひとりが要請の趣旨を理解し、流行の規模を少しでも抑える行動をとるようにしたい。一部で食料品などの買い占め行為が見られる。社会不安を引き起こし、人混みは感染リスクを高める。冷静さが求められる大事な局面だ。

 政府はきのう、改正新型インフルエンザ等対策特措法に基づく対策本部を設置した。状況を適切に分析・予測し、市民に十分な情報を発信しながら、政策を進めていかねばならない。

 中でも力を入れるべきは、医療態勢の整備・充実だ。

 感染症の指定医療機関のベッドが満杯に近づいている地域もある。患者に必要十分な医療を提供するには、一般病院や診療所の協力が欠かせない。

 ところが二の足を踏むところが少なくないと聞く。院内感染が起きた場合に受けるダメージや、風評被害への懸念が大きな理由だという。患者の受け入れが経営上もメリットとなり、万が一、何らかの損害が出ても、確実に補償するような仕組みを検討すべきではないか。

 感染防護に必要なマスクやガウン、手袋などを、優先的に配備するのは当然だ。重症者の治療に使う人工呼吸器などについても、操作要員の確保を含めてしっかり手当てしてほしい。

 患者の重症度に応じて入院先を振り分けるシステムの構築も必須だ。入院可能な病床数を把握して、連絡・調整にあたる大阪府の「入院フォローアップセンター」のような試みを全国に広げたい。患者の搬送や受け入れについて、県境を越えた協力も視野に入れるべきだ。

 厚生労働省は、感染者が増えた場合、軽症者は自宅で安静にして療養する方針を打ち出している。保健所と病院のどちらが責任をもって経過観察をするのか。食事などの生活支援をどうするか。重症化したとき、どこに、どう収容するか。課題を洗い出し、あらかじめ対応策を決めておくことが必要だ。

 家族に重症化リスクの高いお年寄りがいるなどの理由で、自宅療養が難しい人もいる。軽症者が滞在できる施設の確保が求められる。展開によっては仮設病棟の建設も浮上するだろう。

 いずれも、国、自治体、関係団体の密接な連携があって初めてできることだ。

 経路の不明な感染者が増え、爆発的な患者増加が起きてもおかしくない状況に、いま日本はある。その認識と危機感を共有して、難局に立ち向かいたい。

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