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 次々と明らかになった問題に、ひとまずけじめと対策は示した。社外取締役を核とする新たな体制も打ち出した。問われるのは法令順守と企業統治をないがしろにしてきた経営の刷新、その実行と結果である。

 原発がある福井県高浜町の元助役(故人)から、役員や社員が計3・6億円もの金品を受領していた関西電力が、経済産業省に業務改善計画を出した。

 すでに社長らの辞任や取締役の報酬一部返上で11人を処分したのに続き、退任・退職者を含む約80人を対象に加えた。金品受領のほか、元助役の関連会社への工事発注の約束、不十分な社内調査と結果の非公表、監査役の機能不全についても責任を問うた。経営不振時の役員報酬カット分を退任後に補填(ほてん)した2・6億円も回収する。

 経営体制では、社外取締役による監督を強化する。会長に、経団連会長も務めた榊原定征氏を招く。指名委員会等設置会社に移行し、役員の指名と報酬、監査の各委員会を社外取締役中心に運用する。工事の発注、関連自治体などへの寄付金や協力金を審査する委員会も設ける。

 関電はこれまでも、著名な財界人らを社外取締役などに迎え入れてきたが、前代未聞の不祥事を防げなかった。失敗を繰り返すことは許されない。

 とりわけ役割と責任が重いのは榊原氏である。

 関電では定款に従って会長が取締役会の議長を務める。金品受領問題を調べた第三者委員会は、社外の経営者を会長にすえ、社長以下の執行部に対する独立性を保つために会長は代表権を持たないよう提言した。それに沿って榊原氏は代表権のない取締役会長に就く。

 疑問を禁じ得ないのは、非常勤であることだ。様々な公職や複数の企業での社外取締役を務める榊原氏は、引き続き東京に拠点を置くという。それで関電の抜本改革に取り組めるのか。「関電内部に自ら深く手を入れ、いち早く社内の事情を把握するための時間と労力を割ける者とすべき」とした第三者委の注文との落差は大きい。

 関電の経営の柱、原発事業との向き合い方も問われる。経産省の審議会「総合資源エネルギー調査会」会長を務める榊原氏は、会見で原発の重要性を強調した。しかしその役割はもちろん、不祥事で停滞と混乱が続く関電の原発事業を立て直すことではない。調査会会長を辞職する意向を示したのは当然だ。

 「内向きの企業体質の是正は、揺り戻しや逆行が生じ得ることを覚悟しなければならない忍耐を要する課題」。第三者委の指摘を、榊原氏と関電はしっかりと受け止めねばならない。

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