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 憲法が定める「教育を受ける権利」が、新型コロナウイルスによって脅かされている。

 萩生田光一文部科学相がおととい、感染が増加傾向にある地域などでは、臨時休校の継続も検討すべきだとの見解を示した。東京都と大阪府は、5月の連休明けまで都立・府立の学校を閉じると決め、市区町村にも協力を求めている。

 電車やバス通学の多い高校の休校はやむを得まい。幼小中の通学距離は短いが、子どもの健康を最優先に考えて、安全策に傾く自治体は多いだろう。小さな子を家で一人にしないよう、保護者の在宅勤務の拡大や、学校施設を使った居場所づくりなどの環境整備に、改めて知恵を絞らなければならない。

 一方で政府の専門家会議は、「子どもは感染拡大の役割をほとんど果たしていない」とみている。知見を冷静に受け止め、感染者の少ない地域では授業再開に向けた施策を進めてもらいたい。一口に大都市圏といっても、状況は都市部と郊外とで違いがあろう。もちろん踏み切る場合には、分散登校や教室の換気の徹底など、文科省が先月示した対応が前提となる。

 この先、休校がさらに長引いたとき、何より心配なのは学びへの影響だ。誰もが思い浮かべるのは、動画やデジタル教材を使った自宅学習の導入だろう。家庭の経済状態などによる格差を広げかねない面もあって注意が必要だが、急場をしのぐには有効な手立てといえる。

 ただし昨春の調査では、パソコンなどの端末は全国平均で児童・生徒の5・4人に1台しかゆき渡っていない。政府はまさに今年度から4年間で4千億円余をかけて小中の「1人1台」の実現に乗りだしたところだ。

 配備が進めば他の災害時にも役に立つ。メリハリをつけ、休校が長くなる地域を優先することは考えられないか。文科相が会見で言及した通信機器の貸し出しを含め、いまできる方策を急ぎ探ってほしい。

 家にこもることに伴うストレスや運動不足は、心身の不調を招く。保護者も余裕を失うなか、虐待や栄養不足の心配が高まっている。家庭訪問や定期的な電話連絡、登校日の設定など、危険信号を見落とさない取り組みが求められる。子どもの居場所や親の相談相手になっている民間団体との連携や、物心両面での支援も大切だ。

 遊びも勉強も満足にできず、友人や先生にも会えない。卒業式や入学式は簡略化される。つらい春だが、教室で仲間と学ぶ大切さを肌で感じ取っている子も多いのではないか。この体験が成長の糧となって将来かえってくることを、切に望みたい。

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