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 法律で定められた手続きを忘れたうえ、それを隠すために虚偽の公文書を作成する。行政機関にあるまじき行為である。森友問題での財務省の公文書改ざんなどを受けた再発防止策の実が伴っていないことは明らかで、政府全体として重く受け止める必要がある。

 経済産業省は、役員らの金品受領問題で関西電力に業務改善命令を出した際、事前に行わねばならない電力・ガス取引監視等委員会への意見聴取を失念していた。後から気づき、意見を聞いたが、ミスを隠すため、その日付を命令の前日とする虚偽の公文書をつくり、決裁したというのだ。

 資源エネルギー庁の担当職員が発案し、上司の課長級の管理職が了承して指示、その上の部長級の幹部も承認していた。

 その間、誰も止めなかったとは、組織ぐるみの隠蔽(いんぺい)と批判されても仕方あるまい。外部からの情報公開請求で発覚しなければ、ほおかむりを続けたに違いない。

 「手続き上、不適切な点があった」としながらも、公文書の改ざんには当たらないという梶山弘志経産相の認識は甘過ぎる。監視委は経産省の業務改善命令案に「異存はない」と回答しており、日付は重要ではないというのだろう。

 しかし、政府の行動を後から検証するにあたり、日時は最も基礎的なデータのひとつだ。「桜を見る会」をめぐって、招待者名簿の廃棄時期が大きな焦点となったことをお忘れではあるまい。

 事の重大性に比べ、関係者の処分も軽いと言わざるを得ない。7人が対象となったが、国家公務員法に基づく処分は、戒告を受けた課長級管理職のみ。担当職員と部長級幹部は内規による訓告どまりだ。森友問題を受け、虚偽の公文書作成は「免職または停職」にあたると改めた人事院の指針にもとるのではないか。

 安倍首相は2年前、研修の強化など、公文書をめぐる一連の不祥事の再発防止策を決めた際、関係閣僚会議で「政府職員一人一人がコンプライアンス意識を高めることが何より重要。公務員の文化として根付かせる」と力を込めたが、一向に浸透していないのではないか。桜を見る会をめぐる公文書のずさんな扱いなど、むしろ官僚のモラルはさらに低下しているようにもみえる。

 経産省は関電に業務改善命令を出した際、コンプライアンス意識の欠如を厳しく指摘、「抜本的な見直しを早急に図る必要がある」と求めた。この言葉はそのまま経産省、そして安倍政権全体に向けられる。