(社説)休業への支援 国の役割が問われる

[PR]

 いま最優先すべきは、新型コロナウイルスの感染拡大を一刻も早く抑えることだ。そのために何をする必要があるのか。政府と自治体は協力し、知恵を絞らねばならない。

 政府の緊急事態宣言を受け、東京都などで遊興施設などへの休業要請が始まった。全国知事会は政府に対し、休業要請で生じる事業者の損失を補償するよう提言している。

 しかし政府は、西村康稔経済再生相がきのう、「休業補償を行う考えはありません」と改めて述べるなど、否定的だ。

 確かに特別措置法には、休業要請に応じた事業者に対する補償の規定は無い。休業の影響は要請された事業者だけでなく、そこに納品する関連業界などにも及ぶ。損失額の計算方法を決めるのも難しい。

 医療崩壊が目前に迫る今、何よりも求められるのはスピードだ。厳密な制度をつくるために時間をかけることは、避ける必要がある。だからと言って、事業者ばかりに負担を押しつけることも許されない。

 緊急事態宣言で目標とする「人と人との接触の7割から8割の削減」を実現できるかは、国民の幅広い協力にかかっている。安心して休業できるよう、事業者を支援すべきだ。

 感染拡大を受けた政府の緊急経済対策では、売り上げが半減した個人事業主に100万円、中小企業に200万円を上限に現金給付することにした。まずは、休業要請に応じてもらうこともこの施策の目的と位置づけ、状況に応じて支給の対象や金額などを柔軟に見直すことを明言し、具体的な内容を検討しなければならない。

 家賃や光熱費など休業中も支払わなければならない固定費の負担は、事業者の地域や業種、規模などで異なる。こうしたきめ細かな地域の実情に詳しいのは自治体だ。

 東京都は、休業や営業時間の短縮に協力した中小企業などに「感染拡大防止協力金」を支払うことにした。しかしほかの自治体には、財政的な余裕が無いことを理由に、休業要請をためらうところもある。

 財政力の差によって、感染防止の取り組みが遅れることはあってはならない。自治体を支えるのは政府の役割だ。

 緊急経済対策には、自治体がコロナ対策で自由に使える臨時交付金1兆円を計上した。政府は自治体と緊密に意見交換し、必要であれば増額すべきだ。

 コロナ禍の影響で、政府や自治体が予算を組んだ事業も予定通りには実行できないだろう。不要不急の事業は大胆に見直し、コロナ対策の財源を確保する努力も求められる。