(なるほどマネー)会社員の転職、注意点は 社会保険の「空白」つくらない=訂正・おわびあり

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 中高年になってから転職する人が多くなっています。会社員だった人が、一時的なケースも含め、「会社員でなくなること」には様々なリスクがあります。どういった備えをすればいいのでしょうか。

 ■健保、任意継続も可能/国民年金、14日以内に

 2019年の転職者数は、総務省の調査によると9年連続増の351万人。45歳以上の中高年層は129万人で、5年前の14年より36万人増えた。足元では新型コロナウイルスの感染が拡大し、転職せざるをえない人が今後増えるとみられる。

 「転職するのであれば、空白が本当に怖い。いかに空白をつくらないかがポイントです」。経済エッセイストで、社会保険労務士の井戸美枝さんはそう強調する。

 井戸さんの言う「空白」とは、社会保険の加入空白期間のこと。会社員は、雇用先の企業が健康保険や年金の保険料を折半で負担してくれている。手続きも会社がしているが、転職までに1カ月でも空白があれば、自分で行う必要がある。

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 真っ先にしなければいけないのが、公的医療保険の手続きだ。勤め先の健康保険は退職の翌日に資格を失う。ただ、2カ月以上勤めていた場合、退職翌日から20日以内に手続きすれば、勤め先だった会社の健康保険(被用者保険)を任意継続できる。井戸さんは「次の会社がすでに決まっているとしても、任意継続の手続きはした方がいい」とアドバイスする。

 支払う保険料が安くなる可能性が高いためだ。任意継続をしないなら国民健康保険に入らなければならないが、その場合は保険料が前年の収入をベースに算定される。一方、中小企業などで働く人が入る「協会けんぽ」で任意継続の場合、標準報酬月額を30万円(上限)とみなして保険料が算定される。退職後のため、会社との折半にはならないが、それでも井戸さんは「市町村や家族構成によるが、年収500万円以上の人ならば国保より任意継続の方が保険料は安くなる」と話す。

 また、大手企業のなかには、1カ月の自己負担限度額を決め、その限度額を超えた分を付加給付として払い戻す制度を設けているところがある。任意継続でも付加給付が受けられる企業もあり、その場合はさらに負担が減る。

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 年金は、退職翌日から14日以内に国民年金に入る必要がある。そうしないと老齢年金の受給額も減ってしまう。配偶者が厚生年金の3号被保険者である場合は、一緒に国民年金に入る手続きも必要だ。「失業」の場合、所得が一定以下なら市町村に手続きをすれば保険料が免除される。免除された場合、国庫負担分(年金の2分の1)が老齢年金の基礎年金額に充てられる。

 退職や再就職の時期によっては必要な手続きもあり、注意が必要だ。

 たとえば年末調整。退職後から再就職までの間が年末調整の時期にあたる場合、自分で確定申告をしなければならない。

 住民税も再就職までは自分で支払わないといけない。住民税は前年の所得を基に課税額が決まる。会社員はその課税額を12等分して6月から翌年5月にかけて天引きで支払う。退職が1月から5月の場合、5月分までは最後の給与か退職金から天引きされ、6月以降分は自分で支払う。退職が6月から12月の場合は、翌年5月分までの1年分の残りを会社の天引きで支払うか、自分で納付するか選べる。会社にどちらを選ぶか伝えれば、自分で支払う場合は納付書が送られてくる。

 転職後はどうか。

 住宅ローンなどお金を借りている金融機関への連絡は「実はそんなにしなくてもいい」(井戸さん)。ローンが払えていれば、気にしない金融機関もあるという。ただ、転職先には年末調整の際の住宅ローン控除を受けるためにローンのことを伝える必要がある。

 クレジットカード会社には転職の連絡をしたほうがいい。転職先や年収によってはカードの利用限度額が変わる可能性があるからだ。カードローンの利用がある場合も変更を届け出た方がいい。手続きをしておかないと、一括返済を求められるケースもある。

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 再就職先を決めずに退職をした場合に、利用したい制度もある。

 原則として退職する日までの2年間に雇用保険に入っていた期間が通算して12カ月以上であれば、失業手当(基本手当)の給付を受けられる。自己都合の場合は受給できる日数が最長で150日、会社都合では最長で330日。受給日数は被保険者であった期間によって異なり、5年、10年、20年といった区切りで増える。到達しそうだったら区切りまで働いた方が、より長く失業手当を受けることができる。

 ステップアップのために大学院の進学や資格取得を目指す場合、「専門実践教育訓練給付金」が受けられることがある。給付額は最大3年間で計168万円。

 井戸さんは「会社員は社会保険の保障が手厚い。辞めると極端に保障が低くなることを意識して、上手に制度を活用して欲しい」と話す。小泉浩樹

 <訂正して、おわびします>

 ▼4月19日付リライフ面「なるほどマネー 会社員の転職 注意点は」の健康保険を任意継続する場合の説明で、「標準報酬月額を30万円(上限)とみなして保険料が算定される」とあるのは、中小企業などで働く人が入る「協会けんぽ」の場合の説明でした。大企業などで働く人が入る健康保険組合の場合、原則として退職時の標準報酬月額と組合の全加入者の平均標準報酬月額のどちらか少ない額をもとに保険料が算定されます。制度の説明が不十分でした。