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 基地周辺の環境を汚染し、住民の健康を脅かすゆゆしき事態である。日米両政府は深刻に受け止め、原因究明と再発防止に全力で取り組むべきだ。

 沖縄県の米軍普天間飛行場の消火設備から、発がん性が疑われる有機フッ素化合物PFOS(ピーフォス)を含む泡消火剤が大量に漏れ、基地の外まで流出した。その量は約14万3千リットル(ドラム缶700本分以上)に及び、川をつたい住宅地に飛散した。こども園の窓にも泡が付着したという。

 PFOSは人体や環境中に長く残り、健康や生態系への悪影響が指摘される。2009年に国際条約で製造・使用が原則禁止され、国内でも原則、製造・輸入・使用が禁じられている。そんな物質が、日米地位協定で守られ、事実上の治外法権ともいわれる在日米軍基地に今も大量にあること自体、問題だ。

 米軍はPFOSを含まない消火剤への交換を進め、16年以降は訓練で使用せず厳格に管理していると説明してきた。だが、昨年末にも普天間飛行場内でPFOSを含む泡消火剤の漏出が起きた。今回の基地外への大量流出で、もはや米軍の説明に信を置けないことは明らかだ。

 高濃度の有機フッ素化合物は沖縄の嘉手納基地周辺のほか、東京の横田基地周辺でも検出された。英国人ジャーナリストの調査では、三沢や岩国の各基地でも漏れ出た記録があるという。PFOSを含む泡消火剤が各地に残っているのであれば、全国の在日米軍基地から速やかな撤去を進めるべきである。

 事故を受け日本政府は米軍に抗議するとともに、15年に発効した日米地位協定の環境補足協定に基づく初めての立ち入り調査を実施した。防衛、外務、環境の各省の現地職員が基地内に入り、消火剤が漏れた現場周辺などを確認、米側から事情の説明を受けた。

 しかし、通り一遍の立ち入りで事足りるわけではない。繰り返される事故の原因をつきとめ、環境汚染を防止する実効ある措置がとられるまで、米軍任せにしない、日本側の積極的な関与が求められる。

 政府は沖縄県などが求める地位協定の改定をかたくなに拒む一方で、運用改善や補足協定で実質的に沖縄の負担軽減に努めていると強調してきた。しかし、今回の立ち入りにあたり、政府は沖縄県と地元宜野湾市に連絡も参加の呼びかけもしていなかった。これでは到底、信頼は得られない。

 そもそも政府は、泡消火剤をめぐる米側の説明を聞き置くだけで沖縄の懸念に正面から応えてこなかった。その反省にたって、今度こそ住民の不安解消に真摯(しんし)に向き合わねばならない。

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