[PR]

 自衛隊初の宇宙専門部隊「宇宙作戦隊」が、東京の航空自衛隊府中基地に20人規模で発足した。当面は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や米軍と協力しながら、日本の人工衛星を宇宙ごみ(スペースデブリ)から守る監視などを行う。

 宇宙空間はいま、米中を中心とした大国の軍事戦略の要となっている。指揮命令を支える通信も、攻撃の探知も、ミサイルの精密誘導も、衛星抜きには考えられない。

 中国が07年に衛星破壊実験に成功したことは、米国に衝撃を与えた。宇宙の軍事利用を強める中ロに対抗して、米トランプ政権が昨年、陸海空の各軍などと並ぶ「宇宙軍」を創設するなど、宇宙を舞台とした覇権争いは激しさを増している。

 日本は一昨年末に改定した「防衛計画の大綱」で、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域での「能力の強化」を打ち出した。今回の宇宙作戦隊の編成はその一環である。

 役目を終えた衛星やロケットの破片など、宇宙ごみの監視は衛星を守るために欠かせない。ただ、こうした監視の能力は、ターゲットを特定し、攻撃する能力にも結びつく。自衛隊がその能力を磨くことで、宇宙の軍事化に拍車がかかる事態は避けねばならない。

 安倍首相は昨秋、自衛隊の高級幹部に向けた訓示の中で、「自衛隊は創設以来の大きな変化に直面している」と述べたうえで宇宙作戦隊に触れ、「航空宇宙自衛隊への進化も、もはや夢物語ではない」と語った。この部隊に将来、どのような役割を担わせるのか、その具体像も明確になっていない段階で、前のめり過ぎないか。

 日本は69年の国会決議で宇宙の平和利用を定めたが、08年の宇宙基本法制定で安保分野に道を開いた。昨春の日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で、日本版GPSと呼ばれる準天頂衛星「みちびき」に宇宙ごみ監視を目的とした米国の機器を載せることで合意するなど対米協力が拡大しつつある。

 日本の技術や資金力に期待して、米国がさらなる協力を求めてくることは十分ありうる。平和主義の理念や専守防衛の原則を踏まえ、自衛隊に何ができて何ができないのか、議論を深めておくことが急務だろう。

 天気予報からカーナビ、スマホの位置情報など、宇宙はいまや世界中の人々の暮らしを支える公共空間となっている。

 宇宙を「未来の戦場」にしない。平和利用のための国際的なルールづくりに汗を流す。そのことこそ、宇宙の軍事利用とは一定の距離を置いてきた日本にふさわしい役割である。

こんなニュースも