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 中国はいつまで不透明で危険な軍拡を続けるのか。

 強まる軍事力を背景にした行為が繰り返され、国際的な安全保障環境が揺さぶられている。中国政府は盛んに協調や平和志向を強調するが、それを裏打ちする行動が伴わなければ疑念は深まるばかりだ。

 新型コロナ問題で延期されていた中国の全国人民代表大会(全人代)が開幕し、今年度の国防予算案が公表された。

 前年実績比6・6%増の1兆2680億元(約19兆1700億円)。伸び率は前年比0・9ポイント減だが、依然として高い水準にある。米国に次ぐ世界第2位の規模は変わらず、日本の防衛予算の4倍弱に上る。

 中国経済はコロナの影響で、例年のような経済成長率目標を明示できない事態に直面している。公共サービスや外交の予算は大幅に減らされた。そのなかで国防費は「重点的に保障する」とし、別格と位置づけた。

 詳細な内訳は非公表であり、中国軍が何をめざすのか、よく分からない。少なくとも「軍民融合」の強化方針のもと、人工知能やサイバー、衛星利用といった新たな技術分野の開発も推進されていると伝えられる。

 きのうの全人代で李克強(リーコーチアン)首相は「中国は感染症対策で各国と協力を強め、国際秩序を守る。揺らぐことなく平和的発展の道を歩む」と訴えた。だが、額面通り受け取るのは難しい。

 各国がコロナ対策に追われるなかでも、南シナ海ではベトナムやフィリピンに対する威圧行為が絶えず、空母の訓練が行われた。今夏には台湾が実効支配する島の奪取を想定した上陸演習を計画中、との報道もある。

 すでに中国軍の膨張ぶりは自衛の範囲を超えている。やっていることは、力を背景に自らに都合のいいように既存の秩序を変えようとする行為にほかならない。このままでは軍拡競争に陥るとの懸念が周辺国のなかに生じるのも当然だ。

 日本との関係でも、尖閣周辺での中国公船の活動が活発化している。両国の関係改善が進んでも、対中感情が好転しないのは無理もないだろう。

 中国から見れば、米国との対立などを受けた安全保障上の懸念が強まっている、との意識が強いのかもしれない。

 だが、力による問題解決や一方的な現状変更に踏み出せば、国際社会全体の安定が損なわれる。世界の不確実性の高まりは中国にとっても深刻な脅威であることを自覚するべきだ。

 中国がなすべきは、自ら率先して米国やロシアなどを巻き込む軍縮を始めることだ。軍拡を続ける限り、「平和的発展」の言葉を世界は信じない。

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