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 ■グリーンコープ生協ふくおか 生活再生相談員(2013年2月18日掲載)

 生活に困った人の相談は、聞いている方もつらくなる。でも一緒に将来の絵を描き、融資を判断。決して問い詰めず、完済まで何年間も伴走する。いま先の見えない新型コロナ禍の暗闇で苦しむ人にも、その培った人脈と知識、共感力が明かりとなっている「凄腕」です。

 JR博多駅にほど近い福岡市・御供所(ごくしょ)は、寺町である。その一角のオフィスビルに、生活資金に困った人の駆け込み寺がある。「グリーンコープ生協ふくおか」の相談室だ。

 生協が生活苦の人にお金を貸す。全国初の試みは、2006年夏に始まった。ヤミ金融が社会問題になっていた。当時は生協の副理事長で、反対する人を説得。自らも07年から相談員に。いま、相談員17人のリーダーを務める。

 目的は、相談者の生活を立て直すこと。面談や電話、手紙で相談にのり、最後の返済まで「伴走」する。長ければ5年もかかる道のりだ。一緒に「完走」した相談者は200人超。カードローンや消費者金融より低利だから、年3千人近い電話がある。実際に貸すのは1~2割だ。ほかに道があれば、そちらを優先。例えば多重債務の人には、信頼できる弁護士を紹介する。

 貸す、貸さないの見極めは難しい。お金が絡むと誰しも見栄(みえ)を張る。だから一緒に家計簿を書く。話を聞きながら、月単位の「家計表」と年単位の「ライフイベント表」を埋め、この先のお金の出入りをつかむ「キャッシュフロー表」にする。すると暮らしぶりが見え、話の矛盾も透けてくる。

 問い詰めない。蓄えができたときの家族旅行や車の購入など「ささやかな幸せ」を考えてもらう。それが返済の原動力に。「生活レベルを落とすだけでは、やる気がでてこないでしょう」

 炭鉱で栄えた福岡県飯塚市で生まれ育った。地元で就職したが、結婚と出産を機に退職。社会との窓口になったのが、生協だ。そのうち地区の責任者や理事を任されるようになった。

 返してもらえなければ「貸し倒れ」の処理をする。これまでに相談室全体で17人の563万円。貸した金額の1%に満たない。「この数字が、なによりの誇りです」。相談室がまとめた報告書には「救われた。福岡に暮らしていてよかった」などの声が書き込まれている。〈抜粋〉

 <プロフィル>

 きたじま・ちえ 鳥取大工学部を卒業後、製薬会社に就職。1999年からグリーンコープ生協ふくおかで働く。家族は夫と2男1女。子育て中に消費生活専門相談員の資格をとった。

 ■自治体からの委託事業も 凄腕その後

 実績が買われ、福岡県内の自治体から困窮者支援事業の委託も引き受けるように。「こんなに契約社員やフリーの人たちが増えるとは」。いまコロナで、相談は前年比5倍と激増。生きる道を共に探るため、知識を増やして相談に立つ。

 ■コロナ禍の今こそ必要な力 担当記者から

 取材は7年前。その後、困窮世帯への様々な支援制度が新設されましたが、制度を十分に生かすには現場の担当者の力が不可欠です。コロナ禍のいまこそ、北島さんのような存在がいっそう求められていると思います。(土屋亮)

 ■会社名・所属・その他の内容は原則として掲載時のものです。本文は要約しています。情報・ご意見はメール(t-rodo@asahi.comメールする)へ

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 凄腕(スゴウデ)プレイバック

 <訂正して、おわびします>

 ▼25日付「凄腕プレイバック」の記事で、福岡市・御供所について「JR博多駅に近いほど」とあるのは「JR博多駅にほど近い」の誤りでした。過去の記事を抜粋する際に入力を誤りました。

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