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 コロナ禍の影響で生活に困る学生を支援するため、国が設けた緊急給付金の制度に疑問がある。留学生にだけ「成績優秀」の要件を一律につけたことだ。

 支給額は経済状況に応じて10万円と20万円の二つがあり、受け取れるのは、親元を離れ、学費や生活費の多くをアルバイトで賄う大学・専門学校生らだ。

 全員に行き渡るお金ではなく、対象となる留学生を限定しなければ国民の理解を得られない。文部科学省はそう説明するが、外国人への不利益な取り扱いとみられても仕方がない。ただちに撤回するべきだ。

 留学は名目で実際は働きにきた者と、真剣な勉学目的の若者とを区分けしたい。背景にはそんな考えがあるようだ。たしかに、留学生の不法就労や、就学途中で行方不明になりそのまま不法残留するケースは後を絶たず、問題になっている。

 だが、日本社会の側も留学生を安価な労働力として利用してきたのが実態だ。政府が10年ほど前から「留学生30万人」の政策目標を掲げ、受け入れを推進したのも、結果的にそうした動きを助長した面がある。

 留学生はコロナ禍支援の対象外とする国もあるなか、今回、政府が日本語学校も含めて留学生への支給を決めたことは評価されていい。しかし、無用な要件を付加して人権感覚を疑われたり、日本に関心を持つ若者を落胆させたりしては、せっかくの政策も色あせる。

 留学生には「1カ月の講義出席率が8割以上」というハードルもある。就労目的の若者はこれで除外できるはずだ。さらに必要であれば、単位の取得具合も勘案すればいい。文科省は世の中の批判や野党の追及を受けて、「『優秀』の目安を下回っても、大学が必要と認めれば申請できる」と繰り返している。であるなら成績要件を残す意味はますますない。

 いまは学生を支援する方策をさらに広げることにこそ、知恵を絞るべきだ。たとえば東京都や大阪府、京都市などは、学生を短期バイトに雇い、コロナ対策で膨らんだ事務作業を担当させるなどの工夫をしている。

 奨学金の制度に詳しい桜美林大学の小林雅之教授が提案するのは、授業料後払い制度の導入だ。在学中は国が授業料を立て替え、卒業後に本人が所得に応じて返還する。当初は財政に負担がかかるが、いずれ多くは国庫に戻ってくる。納税者の理解は得やすいだろう。

 「学びの継続」の危機にある若者を、国内外わけへだてなく支える。これからの社会を担う人材を育て、この国に心を寄せてくれる人を増やすことに、きっとつながるはずだ。

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