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 通常国会の会期末まで10日余りとなった。政府・与党は、新型コロナウイルス対策を盛り込んだ総額32兆円にのぼる第2次補正予算案を来週中に成立させた後、会期延長はせず、そのまま国会を閉じる方針だ。

 今年は夏に東京五輪・パラリンピックを控えていたことから、安倍政権は元々、政府提出法案を絞り込み、会期を延ばさなくてすむよう算段していた。

 しかし、コロナ禍の拡大で情勢は一変した。五輪の1年延期も決まった。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、第2波、第3波への警戒は怠れない。ここは、不測の事態にも迅速に対応できるよう、会期を大幅に延長し、国会を当面、開き続けることが肝要ではないか。

 2次補正案では、あらかじめ使途を決めず、政府の判断で支出できる予備費が10兆円と、歳出全体の3割にのぼる。リーマン・ショックや東日本大震災の時の数倍に及ぶ巨額な予備費の計上は、国会による事前のチェックを避けて通るためと見られても仕方あるまい。

 いま、野党は、持続化給付金や「Go To キャンペーン事業」の事務委託をめぐる問題を厳しく追及している。もし、国会が閉会中であれば、政府に説明を求める機会は制約されていたに違いない。コロナ対策なら何でもありは許されない。限られた予算をいかに有効に使うか、国会による行政監視機能が問われる局面だ。

 安倍政権の国会軽視、論戦回避は今に始まったことではない。首相が出席する予算委員会の開催に応じない。憲法に基づく野党の臨時国会召集要求もたなざらしにする。繰り返されてきた光景だ。

 コロナ禍が深刻化する前、今の国会では、「桜を見る会」や森友問題、河井克行前法相と妻の案里参院議員の秘書がかかわる公職選挙法違反事件など、政権をめぐるさまざまな疑惑が論戦の焦点だった。いずれの解明も足止めをくった形で、首相をはじめ関係者の説明責任が果たされたとは言いがたい。

 安倍政権はコロナ対応のさなかにも、検察の中立性を脅かしかねない検察庁法の改正を強行しようとし、世論の強い反発などで断念に追い込まれた。国会を閉じて、一連の問題の追及からも逃れようというのであれば、姑息(こそく)と言うほかない。

 コロナ対策には、政府への信頼、国民の納得と自発的な協力が欠かせまい。そのカギを握るのは、感染の現状や政策判断の根拠についての、丁寧で透明性のある政府の説明だ。国会は政府と国民をつなぐ回路でもある。政権の思惑で一方的に幕引きを急ぐことは許されない。

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