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 コロナ禍で海外との人の行き来がほぼ途絶えるなか、日本で暮らす外国籍の人がひときわ厳しい立場に追いこまれている。

 感染防止の水際対策の一環として、政府が「いったん日本を離れたら再入国させない」との措置をとっているためだ。国内に生活基盤をもつ人も対象で、母国に差し迫った用事があっても帰ることができないとの悲鳴があがる。理不尽な施策は直ちに改めるべきだ。

 政府は現在、111の国・地域からの「外国人」の入国を拒否している。日本の永住資格をもつ人や日本人の配偶者たちも同じ扱いで、これらの国々に赴いた場合、原則として再入国は許可されない。入管当局は出国を控えるよう求める。

 だが抱える事情は様々だ。

 母国に住む重病の親族を見舞いたい、経営する海外の会社が立ちゆかないので現地で直接指揮したい――といった切実な希望もかなわず、各方面に影響が及んでいる。やむなく出国した人は日本に戻れず、家族にも会えない状況が続く。

 先月の国会では、母親の葬儀に参列しようとした日本在住11年の外国人が、事前に当局に問い合わせたところ「再入国は認められない」と言われ、最後の別れを断念したケースが紹介された。政府による人権侵害行為と言わざるを得ない。

 今回の入国規制をうける外国人のうち、たとえば「永住者」は、日本に10年以上住み、納税などの義務を果たしてきた人たちだ。様々な分野で責任ある立場についている人も多く、その数は約80万人。日ごろ政府が唱える「外国人との共生」のまやかしや底の浅さを、コロナ禍が浮かびあがらせた格好だ。

 他の先進国も水際対策に力を入れるが、長期滞在者や自国民の配偶者らの再入国に特段の障壁はない。家族、住まい、仕事など、その人をその人たらしめる土台はその国にあるのだから、当然の対応だ。

 日本も再入国を認めたうえで、空港などで感染の有無をチェックし、自主隔離を要請すればいいだけの話だ。日本国籍の人や在日コリアンら特別永住者と異なる扱いをしなければならない理由はどこにもない。

 国会で議論になった後、出入国在留管理庁はホームページに「人道上配慮すべき事情があるときなどは入国を許可する場合もある」との一文を載せた。しかしどんな場合なら「配慮」するかの基準は不明で、問題の解決になっていない。

 国籍がどこであろうが、ひとりの「人」として遇する。この基本を理解しない政府が、外国人材の受け入れを標榜(ひょうぼう)したところで、信頼されるはずがない。

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