(社説)小池都政4年 「事実」で功罪見極めを

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 18日告示の東京都知事選に、現職の小池百合子氏が立候補を表明した。この4年間の都政をどう評価するかが、今回選挙の最大の争点になりそうだ。

 新型コロナ対策では存在感を発揮した。感染の拡大を抑えるため事業者に営業自粛を求める一方で、補償に代わる措置として都独自に「協力金」を支払う方針を表明した。周辺の知事も続き、動きの鈍かった政府が手を打たざるを得ない状況をつくり出した。緊急事態宣言が延長された際も、追加の支給をトップダウンで決めた。

 都の豊かな財政力があってこその施策だった。だが緊急対策費の総額は1兆円を超え、約9千億円あった貯金にあたる財政調整基金をほぼ使い果たした。この先、コロナ禍による税収減は必至で、五輪の延期に伴う追加費用負担も生じる。再び感染が広がった時にどうするか、財政をどう立て直すか、具体的な政策の提示が求められる。

 キャスター経験を生かして情報発信力に優れ、言葉の使い方も巧妙だったが、「強い知事」をアピールしようという思惑が随所ににじんだ。医療態勢の増強やPCR検査の充実は後手に回り、現場の奮闘のおかげで何とか破綻(はたん)を免れた感が強い。

 印象論に流れず、事実を一つひとつ確認しながら都のコロナ対応を検証する必要がある。

 2代続けて知事が不祥事で途中辞職する事態の中、4年前、都民はしがらみにとらわれない変革を小池氏に期待した。

 法律の規制を上回る受動喫煙防止条例の制定や、重点的な予算配分による待機児童の減少は成果といえる。しかし、過去の都政をブラックボックスと批判した小池氏が、では自身の説明責任を誠実に果たしてきたかというと疑問が多い。

 たとえば築地市場の豊洲移転問題だ。土壌汚染対策の不備や石原都政下での不透明な移転交渉が明らかになったが、跡地の再開発方針は混迷。17年都議選直前に唐突に打ち出した「築地は守る、豊洲を活(い)かす」は言いっ放しに終わった。政策決定過程をたどれる文書はないと開き直り、納得できる説明はいまだなされていない。

 関東大震災時の朝鮮人・中国人虐殺をめぐっても、追悼式にメッセージを送るのをやめ、歴史に向き合おうとしない姿勢をのぞかせた。これについてもあいまいな説明に終始する。

 災害への備えや高齢化対策など東京が抱える課題は厳しさを増す一方だ。都議会自民党、五輪組織委、そして国と、「敵」をつくり、闘う姿勢を見せることで支持を集める手法は、今後の都政運営にどこまで通用するのか。見定める選挙になる。

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