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 政府主導で進められてきた宇宙開発を、様々な分野の民間企業が共に担う。そんな変化に、日本も対応すべきだ。

 米国の宇宙企業「スペースX」が開発した有人宇宙船「クルードラゴン」が先月末、国際宇宙ステーション(ISS)に飛行士を運ぶことに成功した。

 米国からの有人飛行は、スペースシャトルが退役して以来9年ぶり。この間、ISSへの往復をロシアに頼ってきた米国は、民間の力で自前の有人宇宙船を復活させたことになる。

 企業の創意工夫やコスト意識が、国家的プロジェクトの中核を支える。そんな時代の本格的な到来を告げる出来事だ。

 使われたロケット「ファルコン9」の打ち上げ費用は1回あたり約60億円と、日本のH2Aロケットの約半分。一部を地上に戻して再利用する技術を実現させ、「価格破壊」と言われるまでにコストを削減させた。

 ISSへの物資の輸送では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の無人宇宙船「こうのとり」も大きな役割を果たしてきた。2009年から先月の最後の任務まで、9回の補給を成功率100%でやり遂げた。宇宙分野における日本の底力を示すものといえよう。

 民間の力を生かそうという動きは日本でも始まっている。18年には「宇宙活動法」が施行され、企業も国の許可を得てロケットの打ち上げができるようになった。ただ、世界市場で競争力を持てるかは、大幅にコストを下げ、通信会社の衛星など「民需」をどれだけ取り込めるかにかかっている。

 ロケットに限らず、注目すべき挑戦は広がっている。日本発のベンチャー「アストロスケール」が先駆的に取り組む宇宙ゴミの除去について、衛星放送会社「スカパーJSAT」や理化学研究所などが先日、レーザーをあてて大気圏に落とす実験衛星の開発を始めると発表した。

 トヨタ自動車はJAXAと共同で月面探査車の開発に名乗りを上げている。政府が昨秋に正式参加を決めた米国主導の有人月探査計画での利用が想定されている。

 AI(人工知能)によるビッグデータ分析など急速に進む技術革新も、宇宙を利用した新たなビジネスを生みだしつつある。異分野からの参入を促し、関連企業の裾野を広げていくことが欠かせない。

 試行錯誤を重ね、新たな地平を切り開くベンチャー企業の育成がカギを握る。JAXAや大学、企業がそれぞれ持つ技術やノウハウを共有できるよう、人材交流を積極的に進めるとともに、資金支援を含む環境整備を進めたい。

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