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 国会閉会から1週間。コロナ禍への対応のみならず、様々な課題が積み残された。なかでも、森友問題の再調査を安倍政権が拒み続けていることは見過ごせない。真実を知りたいという遺族の思いに応えずして、信頼回復も再発防止もない。

 国会が閉じる2日前、35万2659筆にのぼる署名が、安倍首相、麻生財務相、衆参両院議長宛てに提出された。財務省の公文書改ざんに加担させられ、自ら命を絶った近畿財務局の赤木俊夫さんの妻雅子さんが、第三者委員会による公正中立な再調査を求めたものだ。

 雅子さんが3月、国と改ざん当時理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)氏に損害賠償を求める訴えを起こしても、首相や麻生氏は再調査に応じなかった。そこで、雅子さんはインターネットサイトで署名を呼びかけた。「このままでは夫の死が無駄になってしまう」という訴えに、共感の輪が広がったのだろう。

 それでもなお、首相と麻生氏の姿勢は変わらない。なぜ再調査は不要と言えるのか。

 麻生氏は記者会見でこう述べた。「財務省として調査を徹底してやり、関与した職員は厳正に処分した」。しかし、その調査は身内によるもので、佐川氏の具体的な指示内容は明らかになっていない。そもそも、国有地がなぜ8億円も値引きされたのか、首相の妻・昭恵氏が学園の名誉校長だったことが影響してはいないのか、問題の核心は一向に解明されていない。

 首相は国会でこう述べた。「最強の第三者機関と言われる検察が捜査をした結果がすでに出ている」。これも筋違いというほかない。刑事責任を追及する捜査と、信頼回復や再発防止につなげるための事実の検証を同列にはできない。

 「2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではない」という雅子さんのコメントを重く受け止め、政府は再調査に応じるべきだ。

 国会では新たな動きがあった。衆院財務金融委員会が野党の求めに応じ、公文書改ざんの経緯をつまびらかにするよう、衆院調査局長に調査を命じたのだ。国会のチェック機能を強化するため、97年につくられた「予備的調査」という制度で、委員会審議に役立てるための下調べという位置づけだ。少数会派に門戸を開くため、議員40人以上の要請で実施される。

 関連資料の提出など、政府に協力を求めることはできるが、強制力はない。政府は自ら第三者委を設けないのなら、国会によるこの調査に全面的に協力すべきだ。国会もまた、行政監視の本分を果たすために、全力で真相に迫らなければならない。

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