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 ネット上にあふれる誹謗(ひぼう)や中傷にどう対処するか。様々な場で、様々な観点から議論されているが、表現・言論の自由を侵す恐れをはらみ、確たる解決策を見いだせないのが現状だ。

 原因のひとつに、発信の場を提供しているネット事業者の取り組みの実態が見えないこともあるのではないか。

 ツイッターやフェイスブック、ヤフーなどは、情報交換の土台を担っていることからプラットフォーマー(PF)と呼ばれる。投稿の責任を負うのは発信者本人だが、PF側にも問題があるとの指摘は多い。

 もちろんPFも無策というわけではない。独自の基準を設けて、脅迫や差別的言動、著作権侵害などにあたると判断したものを削除したり、その投稿者を利用停止にしたりしてきた。24時間体制でAIを使った監視も取り入れているという。

 それでも、対応が遅い、問題のある投稿が放置されている、一方的に利用を停止された、基準が不明瞭だ――といった苦情や不満は絶えない。

 その投稿が正当な批判・論評なのか、人権を侵害する行いなのか、直ちに判断がつかないケースはままある。PFの苦労もわかるが、だとしてもこれまでのやり方は透明性に欠け、あるいは海外の本社任せで、社会としっかり対話しようという姿勢を欠くと言わざるをえない。

 どんな内容の削除要求がどれほどあり、いかなる基準や態勢で対処しているのか。実績と課題、今後の検討事項などを具体的に説明して、利用者の疑問に答えてもらいたい。

 欧州には、問題のある投稿を短期間で削除することをPFに義務づけ、違反した場合は多額の罰金を科す国もある。被害を最小化する一つの方策ではあるが、PFが制裁を恐れてやみくもに削除したり、一民間企業が言論統制機関になってしまったりする懸念はつきまとう。

 ヘイトスピーチ対策に取り組んできた弁護士らは、政府から独立した第三者機関を設けて、申し立てを受けて投稿内容を審査し、PFに削除などを要請する仕組みを提案している。

 表現活動への規制は極力小さくするのが、民主主義社会にとって望ましい。過剰な介入を防ぐには、実態を踏まえて議論を深めることが不可欠で、まさにその「土台」となるデータや情報を明らかにするのがPFの務めだ。偽ニュース対策でも同様のことがいえよう。

 中傷にさらされていたプロレスラー木村花さんが亡くなったのを受けて、PF各社は善後策を検討すると表明した。社会的責任の重さを自覚し、具体的な行動で示してほしい。