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 この数カ月、新型コロナウイルスの感染予防策として、持ち帰り用の食品容器や使い捨ての弁当箱など、プラスチック製品を利用する場面が増えた。

 だが、プラごみが地球環境や生き物を脅かす存在であることに変わりはない。この風潮が定着すれば、ウイルスとは違った意味で社会をむしばむ。

 感染症対策と並行して脱プラの取り組みも着実に進める。そのことを忘れてはならない。

 世界のプラごみは年に数億トンにのぼり、少なくとも800万トンが海に流れ込んでいると推定される。放置すれば、今世紀半ばには海洋プラごみの量が世界中の魚の総重量を超えてしまうとさえいわれる。

 自然の中に蓄積したプラごみは、生態系を破壊し生物多様性を損なう。海を漂ううちに波や紫外線で砕かれて微小になり、食物連鎖を通じて人体に悪影響を及ぼす懸念もある。

 だからこそ1年前のG20大阪サミットで「2050年までに新たな海洋汚染をゼロにする」との目標がまとまり、国際社会はプラごみ削減へ足並みをそろえることになった。飲食店がプラ製のストローや食器を廃止したり、スーパーのレジ袋規制が始まったり、身の回りでも脱プラの動きが広がり始めた。

 その矢先に起きたのがコロナ危機だった。

 食べ物の持ち帰りや宅配は世界各地で広がった。推奨されていたマイバッグやマイボトルをめぐっても、本人だけでなく店員も触れることが多く、互いに感染リスクがあるなどとして、使用を控える動きがみられる。

 朝日新聞が東京、横浜、大阪などの自治体に聞いたところ、3月以降に家庭から分別回収された容器包装プラは、前年の同時期より約7~12%増えた。緊急対応としてやむを得なかった面があるとはいえ、この傾向に歯止めをかける必要がある。

 プラでなく紙の容器を使ったり、扱いに注意しながら客が持参する容器に食品を盛りつけたりしている店もある。プラスチックのリデュース(削減)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)という「3R」の原則を再認識して、工夫を重ねたい。

 政府の責任は重い。昨年まとめたプラ資源循環戦略は「30年までに使い捨てプラを25%削減する」とうたう。先月、環境省と経済産業省は合同の審議会を設け、具体策の検討を始めた。コロナ時代にどうやってプラ削減を進めるかという観点からも、議論を深めてほしい。

 日本は、1人当たりの使い捨てプラごみ排出量が米国に次いで多い。これを減らすことは地球全体に対する責務である。

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