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 政治対話の不全により、互いの経済を傷つけ合う事態をいつまで続けるのか。日本と韓国の両政府は、対立の核心である徴用工問題の進展に向けて本腰を入れるべきだ。

 コロナ禍もあって見えにくくなっていたが、日韓の政府間の摩擦は今も続いている。日本側が韓国向け輸出の規制強化を発表してから、1年が過ぎた。

 この間、政府間では一応の話し合いがもたれ、日本側が指摘した貿易管理制度の問題点について韓国側は変更を施した。それでも事態は変わらず、韓国側は世界貿易機関(WTO)への提訴の手続きを再開した。

 日本側は今も表向き、安全保障面での貿易管理を理由に掲げているが、この措置には最初から別の意図があったことは明らかだ。徴用工問題に対応しようとしない韓国への制裁としての意味合いが強い。

 この1年で双方の経済界は少なからぬダメージを受けた。

 韓国では、日本製品の不買運動が主因とみられる日本企業の撤退が相次いだ。韓国企業も、国産化の号令のもと、日本の素材を穴埋めするために多大なコストを強いられている。

 WTOでは月内にも紛争処理小委員会が設けられる可能性がある。結論が出るには数年かかる見通しだ。不毛な争いをいたずらに長引かせるのは無責任であり、両政府がメンツにこだわらず解消するしかない。

 日本側はこの輸出規制をただちに撤回すべきである。韓国側もWTOへの提訴を見直し、徴用工問題への積極的な関与に乗り出す必要がある。

 韓国司法では、元徴用工らによる訴えにもとづき、差し押さえた日本企業の資産を現金化する手続きが進む。来月以降は、裁判所がいつでも現金化を命じられるようになる。

 現金化されれば、日本政府は対抗策をとる構えだ。双方の国民感情は悪化し、勝者なき対立が深まるだろう。

 韓国政府は、日韓請求権協定や歴代政権の見解を踏まえた上で、元徴用工らと直接話し合って打開策を模索すべきだ。

 日本政府も、徴用工問題は法的に解決済みだとして突き放す姿勢を改めねばならない。かつての支配国が歴史問題に謙虚に向き合わなければ、韓国側の世論も軟化するのは難しい。

 経済に限らず、北朝鮮問題や環境対策など、日韓が協力して利益を広げられる分野はいくつもある。とりわけコロナ禍は、医療・防疫で知見を共有する大切さを示している。

 次世代に禍根を残さないためにも、冷たい隣人関係の改善へ向けて、両政府は迅速な行動をとらねばならない。