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 経済の落ち込みを脱する道筋を見いだせるか。正念場を迎えている。感染拡大への警戒は怠れない。防疫と経済のバランスを工夫しつつ、双方の水準を高めることが必要だ。

 6月の日銀短観は、製造業の大企業の景況感がリーマン・ショック以来の低水準に急落した。中小企業の落ち込みも激しく、先行きも厳しい見通しが並ぶ。これまでの「人手不足」感が一転し、人手が余っているとする企業も増えてきた。

 5月後半から自粛が緩和され、経済活動も再開が進んだ。消費もやや持ち直している。だが、完全な回復には程遠い。

 新型コロナウイルスの感染拡大による前例のない経済活動への制約に対し、各国の政府・中央銀行は空前の規模の財政・金融政策で、雇用・所得や企業の資金繰りを支え、市場の波乱を抑え込もうとしてきた。失業や倒産も増えつつあるが、これまでのところ、日本経済全体としてみれば、辛うじて踏みとどまってきたといえるだろう。

 とはいえ、問題はこれからだ。国内での感染拡大はいったん落ち着いていたが、東京などでは増加に転じており、油断できない状況が続く。

 再び営業自粛を迫られ、需要減に襲われれば、すでに弱っている企業が持ちこたえられなくなる懸念は大きい。雇用も非正規を中心に就業者が減っているのに加え、一時的な休業者の数が高止まりしており、失業者が急増する恐れがある。

 今後、最悪の事態になった場合に強力な接触制限で感染を抑えこむ選択肢も排除できない。その際に経済を支えるための政策も、準備しておくべきだ。

 だが同時に、生命と健康を最優先にしつつ、経済への打撃を極力抑える道の追求も求められる。これまでの経験を詳しく吟味し、経済への負荷が小さく防疫効果の大きい手法がないか、見極めを急ぐべきだ。中でもかぎになるのは、医療と検査体制の充実であり、そのためには人、モノ、カネの投入を惜しんではならない。

 国内で感染拡大を抑えられても、課題は残る。世界経済の先行き不透明感は依然大きい。海外からの旅行客の急回復は見込めず、「3密」を伴う経済活動もワクチン普及までは、以前の姿に戻すのが難しい。人の移動や接触を野放図にあおるような需要喚起も望ましくない。

 企業心理が萎縮し、ただでさえ低迷してきた成長期待がしぼめば、長期停滞の様相が強まる。デジタル化の進展など新しい需要を取り込み、人材や技術開発、設備への投資を続ける道筋を、政策当局、民間企業ともに探っていく必要がある。

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