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 地球上に核兵器があってはならない。その理念を形にした初の国際条約が国連で採択され、きょう7日で丸3年になる。

 あらゆる核兵器の開発・実験、製造・保有・使用を許さず、核で威嚇することも禁じる核兵器禁止条約だ。

 国連加盟国の6割にあたる122カ国の賛成で成立した。批准国が50に達すれば、90日後に条約は法的な効力を発する。

 先月、アフリカ南部レソトが批准を終えて38カ国目になり、近くさらに増える見通しだ。コロナ禍で停滞が心配されたが、早ければ年内あるいは来年早々の発効も視野に入る。

 これまでを振り返れば、条約の旗振り役を担うオーストリアやメキシコに、「核なき世界」を唱えるローマ教皇のバチカンや、米ソ冷戦期の核危機を知るキューバが加わった。

 さらに核武装をやめた南ア、核実験被害国のカザフスタンや南太平洋の島々、核で脅しあう印パの隣国バングラデシュも続いた。核と戦争を憂慮する国々による異議申し立てでもある。

 条約は広島・長崎に惨禍をもたらした核兵器を絶対悪とし、人類の安全保障のために「非核の傘」を地球規模で広げようとするものだ。発効後、加盟国が核攻撃の危険にさらされれば、核保有国も国際法違反のそしりを免れない。安全保障上、加盟は一定の意味をもつだろう。

 条約の理念を実践しようと、国際NGO・核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、軍事産業を支える金融界に「核兵器にお金を貸すな」と迫る運動を進めている。

 報告書によると、世界325の金融機関が、核兵器関連企業18社に81兆円超を提供してきたが、条約ができた2017年後半以降は94機関が中止した。

 日本では、りそなホールディングスや九州フィナンシャルグループが取引をしないと宣言した。三菱UFJフィナンシャル・グループは今月から、核兵器製造への融資を禁じた。

 市民が預金先の銀行に働きかける「非核運動」を財界も無視できず、今後、核兵器が公式に違法となればなおさらだ。

 すべての国の条約加盟を訴え、被爆者や若者が街頭などで集めた「ヒバクシャ国際署名」は1184万筆を超えた。日本政府に条約への参加・署名・批准を求める地方議会の意見書決議も、全自治体の3割に近づいている。

 戦争被爆国・日本が加われば、条約の意義と存在感はさらに高まるだろう。着実に広がる国際世論と連帯し、核廃絶を現実の目標として追求する決意を世界に示す。それが被爆75年を迎える日本の歩むべき道だ。

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