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 政府提出法案(閣法)93%

 議員提出法案    14%

 先の通常国会に提出された法案の成立率だ。閣法が59本中55本成立したのに対し、議員立法57本中成立したのは、なり手不足対策のために地方選挙の公営化を拡大する公職選挙法改正など8件にとどまった。

 国会審議では閣法が優先され、議員立法で成就するのは、与野党が概(おおむ)ね一致したものに、ほぼ限られる。野党が単独で提案したものは、審議すらほとんどされないのが実情だ。

 憲法は国会を「国権の最高機関」であり「国の唯一の立法機関」と定めている。官僚が中心になってまとめた閣法を処理するだけでは、その重責を果たしたことにはなるまい。政府がすくいきれない多様な国民の要望に光を当て、政策として実現するためには、議員立法がもっと活発に行われる必要がある。

 かつて何度か、その機運が生まれたことはある。

 96年には、社会党出身の土井たか子衆院議長が、自民党出身の鯨岡兵輔副議長とともに「提言」と「指針」を発表。国会の政策立案機能の強化や、衆院で20人以上、参院で10人以上の賛同が必要な提出要件の緩和、審議時間の確保などを呼びかけた。しかし、その後、土井氏が議長を退任したことで、改革への動きは失速した。

 第2次安倍政権下の14年には、自民、公明、民主、維新など与野党7党が「国会審議の充実に関する申し合わせ」に合意。党首討論の月1回実施などに加え、閣法の優先審議の原則は崩さないものの、議員立法も「積極的に各委員会で議論する」とされた。しかし、巨大与党の数の力を背景に強引な国会運営に傾く政権の下、申し合わせは空文化し、今に至る。

 先の国会では、野党が政府に先んじる形で、家賃の支払い猶予や困窮学生への学費免除、ひとり親家庭への児童扶養手当の倍増など、新型コロナウイルス対策の法案を次々と共同提出したが、審議は一度もされなかった。野党の発案であっても真摯(しんし)に受け止め、ともに出口を探ることがなぜできないのか。

 過去に野党が提出した法案のたなざらしもひどい。全原発の即時停止などを盛り込んだ原発ゼロ基本法案は2年以上、審議入りしていない。政府・与党の立場と異なるとはいえ、国会で開かれた議論に付すことは、政策の選択肢をめぐる国民の理解を深めることにつながろう。

 審議時間の確保が、議員立法活性化への第一歩である。各委員会で曜日を決め、一定時間を割り当てる。審議入りの引き延ばしはしない。与野党はまず、そのルールに合意すべきだ。