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 沖縄の米軍基地内で、新型コロナウイルスへの集団感染が発生したとみられ、海兵隊が駐留する普天間飛行場とキャンプ・ハンセンが封鎖された。

 100人近い感染が確認され、基地で働く日本人従業員や基地外への感染拡大が懸念される。米軍は対策に万全を期すとともに、感染者に関する情報を地元自治体と迅速に共有し、住民の不安に応えねばならない。

 米国は感染者数、死者数ともに世界最多で、日本政府による入国拒否の対象国だ。しかし、日米地位協定によって国内法が適用されない米軍関係者は、基地経由で直接入国でき、日本側の検疫などはない。

 在日米軍が非常事態宣言を継続し、警戒を解いていないなか、沖縄では4日の米独立記念日前後に、基地内外でパーティーが開かれ、多くの米軍関係者が参加したという。危機感が足りないのではないか。玉城デニー知事が「米軍の対策に強い疑念を抱かざるを得ない」と言うのはもっともだ。

 さらに問題なのは、地元当局が米軍から、感染対策に必要な情報を十分に得られていないことだ。県によれば、感染者の数については連絡を受けたが、行動履歴や居住地などは断片的にしか分かっていないという。

 日米間には、基地内で感染症が発生した場合、米軍の医療機関が地元保健所に通報し、防疫上の協力を行う合意がある。しかし、いつ、どんな情報を提供するのか、具体的な運用は米軍にゆだねられており、この間の対応は、地元の不信感を招いたと言わざるを得ない。

 軍の運用に影響を与える恐れがあるとして、基地や部隊ごとの感染者数は出さないという米国防総省の方針に従い、沖縄でも、米軍は保健所に人数は伝えつつも、非公表を求めてきた。今後情報が得られなくなる恐れから、県は従わざるを得ず、米軍から認められるまで、今回の感染者数は公にされなかった。

 菅官房長官はきのうの記者会見で「感染者の行動履歴の追跡を含めて、必要な情報は共有している」と繰り返したが、県の受け止めとは乖離(かいり)がある。知事が求める米軍と県による会議の設置など、円滑に意思疎通を図るための仕組みが不可欠だ。

 これは決して沖縄だけの問題ではない。米軍基地がある他の自治体の関係者も同様の不安を抱えている。基地内の感染状況がブラックボックスとなり、水際対策の抜け穴となるような事態は避けねばならない。

 そのためには、日本政府がもっと前面に出て対応する必要がある。米側の説明を地元に伝えるだけでは、国民のいのちを守る政府の責任は果たせない。