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 息をのむ美しさや、驚きの超絶技巧。気鋭の作り手12人の作品を集めた「和巧絶佳(わこうぜっか)」展は、揺れ動く時代において、日本的とされる美意識を手仕事で示す、工芸的かつ新しい表現を見てもらおうとの試みだ。18日に、開幕する。

 「工芸は歴史的には、絵画や彫刻といった枠に入りにくいものを指す中間領域的な存在だった。一方で、手仕事や素材の面白さがあり、『もの作りのワクワク感』を通して新しい表現が生まれやすい」

 こう話すのは、本展を監修する木田拓也・武蔵野美術大教授だ。展覧会を構成する上で、ポイントの一つになったのは、伝統に根ざした工芸美を紹介する「和」の章に登場する、舘鼻(たてはな)則孝さんの存在だったという。花魁(おいらん)の高げたから着想を得た靴は、レディー・ガガ愛用として知られるが、革に友禅染の技法で文様を施すという、古風にして最先端の表現なのだ。

 木田さんは「工芸だけでなく、アートやデザインの枠も超えた発信力がある。彼を軸に据えれば、いろんな表現を取り込んだ展覧会にできる」と考えたという。

 この章には、生きているかのような金魚の群れを、アクリル絵の具と透明樹脂で表現した、深堀隆介さんの作品なども紹介される。

 「巧」の章では、デジタル全盛の時代に、あえて手わざの極致に挑む作家たちが登場する。

 見附正康さんの新作は、加賀赤絵の大皿。緻密(ちみつ)この上ない幾何学的文様がフリーハンドで描かれる。「それだけでもすごいのに、皿の中心と模様の中心がずらされ、視覚が幻惑される面白さがある」と木田さん。

 線状の金箔(きんぱく)などを使って文様を描く「截金(きりかね)」をガラスで挟んだ表現を見せるのが、山本茜(あかね)さん。木田さんは「緊張の続く作業だと思うが、元々美しい金とガラスから、後者の反射の効果で、めくるめくような美しさが生まれている」。

 アルミの鋳造による小花で動物の頭部を表現する高橋賢悟さんの驚きの技も、この章で味わえる。

 そして素材の可能性を探る「絶佳」の章。螺鈿(らでん)などによって色彩表現を追求した橋本千毅(ちたか)さんの作品や、モダニズムの美意識を思わせる直線的な把手(とって)を持つ、坂井直樹さんの鉄瓶などが登場する。この鉄瓶に関して木田さんは「鉄のさびやたたいた跡の柔らかさに生命感がある。マンションなどの現代の空間にも合う」と話している。

 「素直に美しいと共感してもらえる作品を集めた」という木田さん。今回の展覧会を、いま見る意義をこう語る。「五輪のかわりにコロナ禍が来てしまったが、2020年は多くの人が転機の年と認識していると思う。何かを模索する動きがあるときに、新しいものを予感させる場を示したかった」

 次は会場で、鑑賞者が共感と予感を覚える番だ。(編集委員・大西若人)

 ■18日から東京・パナソニック汐留美術館で

 ◇18日[土]~9月22日[火][祝]、東京都港区のパナソニック汐留美術館。午前10時~午後6時。7月24日[金][祝]、31日[金]、8月7日[金]、28日[金]、9月4日[金]は午後8時まで。入場は閉館の30分前まで。7月22日[水]、8月12日[水]~14日[金]、19日[水]、9月9日[水]、16日[水]は休館

 ◇一般1千円、65歳以上900円、大学生700円、中高生500円、小学生以下無料

 ◇展覧会ホームページ https://wakozekka.exhibit.jp/別ウインドウで開きます

 ◇問い合わせ ハローダイヤル03・5777・8600

 主催 パナソニック汐留美術館、朝日新聞社

 ※本展の図録(2500円)は通販サービス「朝日新聞SHOP」(https://shop.asahi.com/別ウインドウで開きます)でも販売します

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