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 新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、国民の間に不安が広がっているというのに、安倍首相の顔が見えない。国会の閉会中審査には出てこず、記者会見もやらない。行政府の長として、説明責任から逃げているとみられても仕方あるまい。

 通常国会の閉会から1カ月が過ぎた。新型コロナへの対応に万全を期すため、国会は開いておくべきだと野党は求めたが、安倍政権は会期の延長に応じなかった。この間、衆参両院で週1回ずつ閉会中審査が開かれているが、首相が答弁に立ったことは一度もない。

 先週は行政監視の主舞台となる予算委員会が両院で開かれた。政府が1兆3500億円を投じる観光支援策「Go To トラベル」の是非が最大の論点だったが、野党が求めた首相の出席を与党は拒んだ。NHKが中継し、国民に直接、メッセージを伝える機会であったにもかかわらず、説明はすべて西村康稔担当相に丸投げされた。

 首相は5月に緊急事態宣言を解除した際、「日本ならではのやり方で、わずか1カ月半で、流行をほぼ収束させることができた。日本モデルの力を示した」と胸を張った。しかし、東京のみならず、全国に再び感染が広がる今、このまま「日本モデル」で乗り切れると考えているのか、首相の認識を聞きたいという人は少なくなかろう。

 また、感染防止と経済回復の両立という難しいかじ取りには、幅広い国民の理解と協力が欠かせない。首相が自分の言葉で、丁寧な説明を尽くすべき局面ではないのか。

 首相は2~5月に計8回、コロナ対応をテーマに記者会見を行った。しかし、国会閉会翌日の先月18日を最後に、1カ月以上、会見は開かれていない。首相官邸への出入りの際に、記者団の質問に応じたことは何度かあるが、やりとりは短く、首相が一方的に話して立ち去ることも多い。

 きのうは、混乱の中で始まった「Go To キャンペーン」について、国民に自ら説明する考えはないかと記者団に問われ、「こういう機会に、今説明している」、西村担当相や菅義偉官房長官が「ほぼ毎日説明している」などと述べた。率先して国民に向き合う気はないということだろうか。

 首相の説明責任が厳しく問われているのは、コロナ対応だけではない。政権が異例のてこ入れをするなかで起きた河井克行前法相夫妻の公職選挙法違反事件しかり。自ら命を絶った近畿財務局職員の妻が再調査を求める森友問題しかり。国会が閉会中なのをいいことに、だんまりを決め込むことは許されない。

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