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 NHKは4日、2021~23年度の中期経営計画案を発表した。新型コロナウイルスによる経済状況の変化や、人口・世帯数の減少を想定して現在7千億円超の事業規模を縮小し、22年度までに6千億円台と、3年で630億円を減らす。同日開かれた経営委員会(森下俊三委員長)で了承された。民放各局などからの「事業規模が肥大化している」との指摘に対応した形だが、新たな受信料値下げは盛り込まれなかった。

 会見で前田晃伸会長は「スリムで強靱(きょうじん)なNHKへと生まれ変わらせたい」と述べた。チャンネルごとに管理していた予算を整理し、300億円超のコストカットをすることなどで、630億円の削減が可能になるとの見通しを示した。

 また、ほかの支出の抑制策として、ラジオやBS(衛星放送)のチャンネル削減も正式発表した。第1と第2があるAMラジオを一本化させる具体案を中期経営計画の3年以内に出す。また、4チャンネルあるBSのうち、「BS1」と「BSプレミアム」、「BS4K」を2チャンネルに減らす。削減時期は視聴者への意向調査を踏まえ、計画が議決される来年1月に公表する。将来的には1波にすることも検討するとしている。「BS8K」についても設備投資の抑制を徹底などした上で、東京五輪・パラリンピックの開催後に、あり方を判断するという。

 総務省から求められてきた受信料値下げは、今回は見送った。10月に予定している受信料値下げや世帯数の減少、テレビ保有率の低下により、受信料収入は減収トレンドにあるためという。経営委は5日からネットや郵送で意見募集を行い、年内にも計画を策定する考えだ。(宮田裕介)

 ■「持ち株会社も検討」

 NHKを持ち株会社制度化したり、新しい受信料体系を導入したりすることも検討する――。1月に就任した銀行出身の前田会長は、中期経営計画とは別に、将来的な改革案を次々と口にした。

 グループ会社の経営についてNHKはこれまで、統合や合併といった形で整理を進めてきたが、前田会長は「持ち株会社制度の方がはるかに機能的で効率的にできると私は考えている」と持論を展開した。放送法改正が必要になる可能性があるため、「総務省に相談することになる」という。

 また、現行の受信料制度については受信料引き下げに時間がかかることなど、「問題点がいろいろ指摘されている」と発言。現在は、衛星放送と地上放送でそれぞれ徴収している受信料を一本化するといった「総合受信料」についても、「一つの考えとして検討の中にも当然入っている」と述べた。一方で、全世帯から徴収するドイツ型の受信料制度については「放送の自主自律が損なわれる懸念がある。私は導入に反対」と述べた。

 ■中期経営計画案の骨子

 ◆事業規模を3年間の期間中に630億円程度削減し、7千億円超から6千億円台に

 ◆予算の管理を「チャンネル別」から「ニュース・スポーツ」「教育・福祉」「ライフ・教養・趣味実用」「ドラマ・エンターテインメント・音楽・アニメ・映画」の4ジャンル別に転換

 ◆BS1、BSプレミアム、BS4Kを2チャンネルに整理・削減。将来的な1チャンネルへの一本化の検討も

 ◆東京五輪・パラリンピック後にBS8Kのあり方を検討

 ◆ラジオはAM、FM各1チャンネルにする具体案を期間中に提示

 ◆受信料水準は現行を維持

 <訂正して、おわびします>

 ▼5日付社会面のNHK前田晃伸会長の会見内容を報じた記事で、会長が導入に反対の考えを示したのは、「パソコンや携帯を持つ人からも受信料を取ること」ではなく、「全世帯から徴収するドイツ型の受信料制度」でした。NHKの受信規約では、テレビやワンセグ機能付き携帯電話など、受信機のある世帯を受信契約の対象としています。発言の趣旨を取り違え、確認が不十分でした。

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